第3話

第一章︰1-2
16
2025/06/11 05:17 更新
あなたは沈痛な面持ちで俯く桜庭 麗華に目を向けた。彼女の美貌は、まるで張りつめた緊張感を和らげようとしているかのようだ。社交界の華として知られる彼女だが、その慈善事業の資金源には常に不透明な噂がつきまとっていた。
(なまえ)
あなた
桜庭夫人、あなたにお話を伺いたい。事件当日、あなたはどちらにいらっしゃいましたか?また、失踪された橘氏とは、どのようなご関係でしたか?
桜庭麗華はゆっくりと顔を上げた。その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいるように見えた。
桜庭 麗華
桜庭 麗華
わたくしは、事件当日、慈善事業のパーティーに出席しておりましたわ。都心の最高級ホテルで開催されたチャリティガラで、多くの著名人や政府関係者も出席しておりました。その様子は、複数のメディアでも報道されていますわ。夜11時には自宅に戻り、静かに過ごしておりました。もちろん、会場にはわたくしを証言できる方が何人もおります。
彼女は言葉を選びながら、ゆっくりと話し続けた。
桜庭 麗華
桜庭 麗華
橘様とは…ええ、数年前から個人的な付き合いがありました。彼はわたくしの慈善事業に深く理解を示してくださり、多額の支援をしてくださいました。わたくしにとって、彼は恩人でしたの。まさか、このようなことになるとは…。
桜庭は繊細なレースのハンカチを取り出し、目元をそっと押さえた。しかし、あなたの探偵としての勘は、彼女の悲しみがどこか演技めいていると感じた。彼女が話している間、時折、応接間の窓の外に視線を送っていることにあなたは気づいた。その窓の外には、手入れの行き届いた庭が広がっており、その一角には、咲き誇るバラの花が目に飛び込んできた。特に、庭の奥にある、ガラス張りの美しい温室のような建物に、彼女の視線が吸い寄せられているように見えた。
(なまえ)
あなた
桜庭夫人、先ほどから窓の外をご覧になっていますが、何か気になるものでも?
あなたはさりげなく尋ねた。
桜庭夫人は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに微笑みを繕った。
桜庭 麗華
桜庭 麗華
ええ、この洋館の庭は本当に美しいものですから。特に、あの温室のバラは、わたくしのお気に入りなんですの。橘様が、わたくしのために特別に手入れしてくださっていたものですから、ついつい目がいってしまって…。
彼女の言葉には、どこか感傷的な響きがあった。しかし、あなたは温室に何か秘密が隠されている可能性を感じ取った。橘氏がバラを育てていたという事実は、彼の意外な一面を垣間見せる。同時に、その温室が、この事件と何らかの関連があるのではないかという直感が働いた。温室のガラスは、どこか曇っており、内部の様子がはっきりと見えない。まるで、秘密を隠しているかのようだ。

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 *ここまで読んで下さりありがとうございました!
  次回(2-2)にはさらなる分岐点がありますので是非お楽しみに!

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