第86話

#75
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2021/12/05 13:01
あの日、私は1人崖の上に座って叫んでいた

あなた「なんで皆クロユリって私のことを呼ぶんだよ…!!!」
「もう私はクロユリじゃない…!」
「こんな名前大っ嫌いだッ…!!」

私は元々殺し屋だった
政府からのお願いで、E組に転入してきた
しかし、殺せんせーを殺そうとたくさんの殺し屋たちが学校に来て
私を見ると、"クロユリ"と必ず呼ばれる
それが嫌で嫌で仕方がなかった

あなた「誰がこんな名前つけたんだよ…」

私の姿を見た人が、私のことをクロユリと呼び始め
それが広がり、殺し屋たちの中でこの名前を知らない人などいないほど
有名となってしまった
多くの人から恐れられ
呪い殺される、そんな噂までたった

あなた「私は依頼が来たから殺しただけ…!」
「呪い殺すなんてことしない…!」
「それに、罪のない人間には手を出さないのに…!」

勝手に名前を付けられ、根も葉もない噂をされ
怖がられる
私はそんな日々を送るのが嫌になった

あなた「ここから飛び降りたら、私死ねるかな…」

そんなことを考えていた時だった

殺せんせー「クロユリ…いい名前じゃないですか」

あなた「!?殺せんせー!?」

殺せんせー「華乃さん、私はクロユリという名前はかっこよくて、いい名前だと私は思います」

あなた「殺せんせーは私の気持ちが分からないから、そんなこと言えるんだよ…!!」

殺せんせー「確かに、今まで苦しんできた華乃さんの気持ちは先生には分かりません」

あなた「なら…!」

殺せんせー「ですが、これだけは言えます」
「クロユリ、この名前はとてもいい名前だと」

あなた「なんでそう思ったの」

殺せんせー「クロユリには呪い、復讐という花言葉があります」

あなた「…どこがかっこいいのよ…」

殺せんせー「クロユリには怖い花言葉以外もありますよ」
「それは"愛"です」

あなた「愛…?」

殺せんせー「華乃さんには人を呪うことは出来ませんが、人を愛すことはできます」
「クロユリは、名前の通り黒く立派な花を咲かせるユリです」
「まさに華乃さんにぴったりな花だと先生は思います」

あなた「…!!」

殺せんせー「華乃さん、殺し屋なんてもう辞めましょう」
「そして、暗殺する力を人を守るために使ってください」

あなた「守る…?」

殺せんせー「華乃さんは、優しく、仲間思いでとても素晴らしい生徒です」
「暗殺する力を人を守るために使い、いつか愛している人を助けるために使ってください」

あなた「愛する人を助ける…!」
「人を守る…!」
「なんだかオールマイト…」
「ううん、ヒーロー見たい…」

殺せんせー「華乃さん、ヒーローを目指しませんか?」

あなた「え、殺し屋の私がヒーローになるの?」

殺せんせー「はい」
「華乃さんはきっと、素敵なヒーローになれます」
「そしたら、クロユリという名前もきっと好きになれますよ」

あなた「ヒーローに…!」
「殺せんせーありがとう」
「私、絶対ヒーローになって沢山の人を助ける…!」

殺せんせー「頑張ってくださいね!」
「先生も応援しています」
「絶対に華乃さんはヒーローになれますよ」
「なんてったって、先生の生徒なんですから」
あなた「ヒーロー名はクロユリです!!」

ミッドナイト「クロユリ…怖い花言葉がついているけど本当にいいの?」

あなた「はい!昔は大嫌いだったこの名前ですが…」
「クロユリには怖い花言葉以外にもあるって教えてもらったから」
「私は絶対立派なヒーローになれる」
「そう教えてくれた恩師が教えてくれたんです」

ミッドナイト「いい先生だったのね」
「クロユリ…いいじゃない!」
「かっこいいわ!」

あなた「ありがとうございますッ!!!」

殺せんせー、絶対この名前好きになるから
それまで見ててよ
私頑張るから
先生が認めてくれたんだもん
絶対立派なヒーローになれるよね!!

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