私が遣る気を取り戻してから少し経った頃
私は探偵社の近くのカフェに入って
窓際のカウンター席に座った
窓から、人々が行き交うのを見ながら
パソコンを開いた
その刹那__
__同時刻
敦と乱歩、そして太宰の三人は事件を解決し
帰路に着いていた
が、乱歩は先々歩いてしまっている
と、胸に軽く手を当てて云う
恐ろしい兄
昔から
兄さんはスッと立ち上がり、私の頭を
軽く撫でて云った
私は、ゆっくりと店を出て行く兄を見送った
嘘だった、絶対に
兄が、私に会う為だけにヨコハマに来たなんて
確かに兄は昔から異常な程に愛が重い
でも⋯⋯
何か決定的な理由がある訳ではない
兄に何かおかしなところがあった訳でもない
でも、あれは嘘だ
ヨコハマに来たのには
他にも理由があるんじゃないか
それに、兄さんの 「 神に誓って 」 という一言も
引っ掛かる
キリスト教の思想を持っている兄さんがあんな事を
云うなんて、余程大事な事を隠しているんだろう
それか、私に話せないような事か⋯⋯
__その後も色々考えたが、結局解らなかった
唯、一つだけ分かった事がある
今日の朝方に見た夢
あれは、私の兄だ
兄に昔云われた事を夢に見たのだ
しかし、そんな事を思い出しても
兄が今日何故嘘を吐いたのかは全く解らない
私は諦めて、仕事をある程度終わらせてから
探偵社に戻った











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。