今度は頭を下げることはしなかったが、七津はそうしなくても誠意が伝わるくらい真っすぐとした目をしていた。
寧ろ、あの場に七津が来てくれたことが今となっては良かったとすら思っている。
それ以外にも七津は私が私でいられる環境をつくろうと自分の方でも根回しをすると言った。
どんな伝手があるのか……七津のコミュニケーション能力と友達の多さには何歳になっても驚かされる。
以前、悪い人達とは関わっていないから大丈夫と言った七津の信用度は今の言葉でガクッと落ちた。
だが、こればかりは私がグイグイ聞くのも過保護すぎるめんどくさい姉になってしまう。
せっかくただの姉妹として話せるようになったのだ。
今はお節介はやめよう。
何故か私よりも過保護な七津に少し呆れる。
発想に歯止めがつかなくなりそうな妹にふと思った。
こういうことを誰にでも言ってしまうんだろうか。
この人誑しめ。
そういって別れてお互いに部屋に入り、やるべきことを熟していく。
ちらりと見えたカーテンの隙間からは雲が見当たらない夜空に、沢山の星々が散らばり自由に光っている様子が見えた。
流れ星が落ちるまであと一日。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。