類が話した「減る階段」の真相は、なんとも悲しい話であった。
そう言って、白石さんはみんなにスマホを見せた。
圏外のスマホは、たしかに2:17を示している。
普段ならもうとっくのとうに寝ている時間だ。
だが、不思議と眠気は感じない。
アドレナリンだかなにかのせいかな。
私、類、暁山さん、東雲さんと白石さん、東雲くん、青柳くん、司の2グループに別れて教室を探す。
「アイテム」がないか調べて、開かずの教室でないかを確認する。
3年生の方から順々に見てきたけれど、黒板は(汚さの差はあれど)みんな消されていたし、扉は全て開いた。
開かずの教室も、書き替わる黒板も今のところ見当たらない。
そう言いながら、東雲さんが静かに扉を開ける。
黒板に書かれた授業内容は、1年生の秋頃に受けた覚えのある授業だ。
このクラスは1-Cなので、黒板が1年生の学習内容なのに違和感はない。
そう呟いて、東雲さんは教卓に近づき手を突っ込む。
日誌や座席表を取り出して、その後、ノートのような厚さの本を手に取った。
類が東雲さんの手にあるノートを照らす。
「大庭 翔也」という人のノートらしい。
まあ、鍵をして痕跡をなくしたとはいえ、文書庫に行った時点でもう……という話はある。
七不思議を探索しないと出られないわけだし……
しかたない、よね。
ぺらり。
ページを開いて1ページ目、一番最初の項目に、胸を打たれた。
「1,病院のベットじゃなくて、家の布団で寝る」
その一文で、大庭さんとやらがどんな状況にいたのかが察せられてしまう。
誰も、何も言わない。
ただ静かに、ノートを見つめていた。
何度かページを捲ると、最後の項目が書かれたページに辿り着く。
そこには____
「42,1日中授業を受ける」
42番目の項目には、取り消し線。
きっと、無理だと察したんだろう。
だから、取り消して、最初から願いが41個しかなかったかのようにした。
鉛筆で書かれているそれが消されていないのは、きっと心の奥底で叶ってほしいと願っていたから。
黒板を見れば、「欠席:大庭 翔也」と書かれている。
私は、無言でその文字を消した。
そして、「欠席:なし」と書き換える。
そのまま、調査書を取り出した。
「問一、「書き換わる黒板」は実在するか」
答、実在する
「問二、発生場所はどこか」
答、1-C
「問三、なぜ生まれたか」
答、病床についても授業を受けたいと願ったから












![# 攻略対象より悪役に惚れました . [ 冬司ver ]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/463Ienje96SMnaxqeg7tvIaFh9p1/cover/01K566339R5TNCGP01WCWNSK9G_resized_240x340.jpg)





編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。