第7話

第7章 黄金の真実
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2025/10/12 10:11 更新
白銀荘の空は曇天に覆われ、銀ノ結晶の光が鈍く揺れていた。  
銀警察署の訓練場は静まり返り、サキマは白銀の拳銃を手に黙々と点検していた。白い髪が汗で額に張り付き、白色の瞳には決意と疲労が交錯している。
アークロイヤルとの再会から一夜。彼の軽快な笑顔が、サキマの心に新たな火を灯していた。

「シルバーマン、キミ、信じてくれる?」

――あの言葉が頭から離れない。
十年前に失った仲間たちの面影。無力感という鎖が、今もなお彼を縛りつけていた。だが、アークロイヤルの存在は、その鎖を少しずつ溶かしていく。

「シルバーマン! 見て見て! この技、めっちゃカッコいいよ!」

訓練場の隅でアークロイヤルが叫ぶ。白の王冠型カチューシャ(縦線入り)が陽光に輝き、バレーボール柄のスパッツと縦線の白マントが風に揺れる。
右手を掲げて黄金の光を放つと、それは槍、剣、盾と次々に形を変えた。若手警官たちが「おお!」と声を上げる中、サキマは深いため息をつく。

「シルバーマンじゃない、サキマだ。それに、訓練の邪魔だ!」

「ハハ、キミ、いつもピリピリしてるね! でもさ、この黄金の力、キミのピストルと相性バッチリじゃん?」

アークロイヤルの無邪気な笑みに、サキマは一瞬言葉を失う。
彼の能力――黄金の武器――は、単なる技ではない。そこには得体の知れない“意志”のようなものを感じた。
拳銃をホルスターに収め、サキマは真剣な瞳で問いかける。

「君……その力、何なんだ? U部隊が“ゴミカス”って呼んでいた理由は?」

アークロイヤルの笑顔が、一瞬だけ曇る。だがすぐにニヤリと笑い、マントを翻す。

「さあ? ただの派手な技だよ! でも、キミと一緒なら、もっとスゴいことができそう!……(ゴミカスって……ひどいなぁ……)」

その軽さに苛立ちながらも、なぜか安心する自分がいる。
その瞬間、訓練場に警報が鳴り響いた。

「サキマ教官! 緊急です! 結晶塔のエネルギー炉にU部隊が侵入しました!」

通信機越しの副官の声に、サキマの瞳が鋭くなる。

「よーし、シルバーマン! バディの出番だ!」

「バディじゃない。行くぞ!」

二人は浮遊バイクに飛び乗り、結晶塔へ急ぐ。
曇天の空の下、銀ノ結晶の光が不穏に揺らめいていた。
結晶塔のエネルギー炉――白銀荘の心臓部。
巨大な円形の炉は銀ノ結晶の輝きで満たされ、都市を浮遊させるための力を生み出していた。
到着したサキマとアークロイヤルの目に映るのは、黒い装甲服で埋め尽くされた光景だった。U部隊員は十五人以上。銀ノ結晶のエネルギーを帯びた武器が、薄暗い炉の光を反射し、不気味な輝きを放っている。

「こいつら……本気だな」

サキマは白銀の拳銃を構え、冷静に状況を分析する。
アークロイヤルは黄金の光を閃かせ、剣へと変化させた。

「ハハ、シルバーマン! キミのピストルと僕の剣、どっちが派手かな?」

「ふざけないで、集中するんだ」

戦闘が始まる。
サキマの射撃は正確無比で、U部隊員を次々と倒していく。
アークロイヤルは軽快に動き、黄金の剣で敵を翻弄した。だが、敵の数は多く、その連携は異様なほど緻密だ。
サキマの胸に、十年前の記憶がよみがえる。

「サキマ、逃げろ!」

仲間たちの叫び声、炎に包まれた倉庫、銀ノ結晶の爆光。
一瞬の躊躇。その刃が彼に迫る――。
しかし、黄金の盾がその一撃を防いだ。アークロイヤルが前に立ち、笑う。

「シルバーマン、ボーッとすんな! 僕が守るよ!」

次の瞬間、黄金の光が異様に強くなり、盾が巨大化した。
眩い光と共にU部隊員が一気に吹き飛ぶ。サキマは息を呑み、アークロイヤルを見た。

「君……その力、ただの技じゃないな?」

アークロイヤルは笑みを絶やさず、それでも真剣な瞳で答える。

「ハハ、キミ、気づいた? これはね……僕の“意志”なんだ」

サキマの言葉が詰まる。だが戦いは終わっていない。
黒と金の軍服を纏ったU81が姿を現した。灰色の瞳が冷たく二人を見据える。

「黄金の意志、か……興味深い。だが俺の前では、そんな変な劇は無意味だ。結晶の力は、俺の闇に飲み込まれる」

低く響く声に、サキマの胸が疼く。十年前の敗北が蘇るように。
だが――アークロイヤルの声が、それを断ち切った。

「シルバーマン! キミのピストルは仲間たちの魂だろ? じゃあ、僕の意志と一緒に戦おう!」

サキマは拳銃を握り直す。十年前は救えなかった。だが今は違う。傍にいるのは、あの黄金の男だ。
彼の光が、サキマの心に新たな決意を灯す。

「……君、ほんとバカだな。だが、悪くない」

二人は息を合わせ、U81に立ち向かう。
白銀の銃撃と黄金の剣が重なり、結晶炉を守る閃光が交錯した。
U81は一時後退する──だが、その灰色の瞳には、まだ終わらぬ策略の影が宿っていた。

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