💎🦊side
今日初の朝日と対面しながら
2人の横で早くなった自分の鼓動と息を整える
「ないちゃんは車椅子じゃん」
そう言おうとした言葉をぐっと飲み込んで
大きなため息をつく
半ば悲鳴に近い泣き声をあげる
りうちゃんは黙れっていってたから
僕はそのかわり口を尖らせる
その後文句を言い続けたが
柔らかく断られ続け結局学校へ来てしまった
学校へ来ると
りうちゃんは前髪を下ろし始める
なんでピンで止めたままにしないのか
僕もあまり分からない
少し長い前髪が
りうちゃんの目元にはらりと落ちる
ないちゃんは校門に行った途端
恐らく友達だと思われる人に
声をかけられ
ぱっとより明るい笑顔になりながら
器用に車椅子を押して行ってしまった
そう後ろから声をかけられ
振り向くと
何度も見てきたクラスメイトの顔
僕もにこにこと愛想のよく見える笑顔を
顔に貼り付けながら
りうちゃんをちらっと見る
りうちゃんは僕とはまるで
もう他人かのように
そっぽを向いて玄関へ向かって行ってしまった
そう言ってされるがままに手を引かれて
僕は玄関へと入った
靴を脱いで内履きに履き替える
僕の内履きを入れる場所のひとつ下の段
そこに居座っていた内履きは少し薄汚れて埃が被っていた
踵には「 初兎 」と
紫の可愛らしい字が並べられている
僕は内履きのまわりの埃を指でなぞる
ついた埃をぐりぐりと指先の腹同士でねじつけあいながら
僕はクラスへと小走りで向かった
背には走る度浮いてぶつかる鞄の痛み
それに比例して心のもやもやする痛みは消えず
教室へ向かう度増えていった
少し古くなった横開きのドア
ドアの窪みに手をかける
なるべく明るく僕らしい声を出しながら
教室に入る
見定めるようなみんなの視線が素早く集まって
針みたいに僕を刺してくる
一瞬の、静寂
それが超えれば
またわっと盛り上がる教室
心に安心がずしっと伸し掛る
席に座ると
自然と僕の周りに集まるクラスメイトたち
襲いかかる質問に
一定のテンポで答えていく
この答えが間違っていたら
僕は一気に三軍行き
だから、いつも相手の顔を見る
答えがあっているか
相手が望む答えはなにか
それを見極めるのが
僕の惨めで得意な癖
みんなの笑顔が
僕の安心
みんなからの笑顔が無くなるのが
「 僕 」の終わりの合図だから
「 ぼくらがいちばんっ! 」
「 ずっといっしょだよ、、? 」
「 ふたりでひとつ、
ふたりでかんぺきっ! 」
小さい頃の記憶が蘇る
所詮 口だけの約束
小さく笑ってみせると
気持ち悪い笑顔がみんなの顔に浮かんだ
その顔を見るたび、
僕は安心するし
その顔を観るたび、
僕は僕が嫌いになる














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!