俺は猿山が幼い頃からずっと見てきた
だから誰よりもアイツのことを知っている
そして周りにいた奴等のこともだ
猿山の過去も気持ちもなんでもわかる
猿山の過去はとても酷かった
幼い頃から親に縛られ、自由はなくなり
まるで呪いのように
『猿山家の跡継ぎということを忘れるな』
と言われ続けていた
中学高校になると暴言だけだったのが暴力も振るわれていた
猿山は自分のことを認めてもらおうと勉強もスポーツも頑張っていた
生徒会長にもなり、テストでは必ず1位だった、成績も1番よかった
それでも猿山家の者は誰も認めず『そんなのは当たり前だ』と言うだけだった
暴力を受けるようになった猿山の身体は傷だらけで顔にはガーゼや絆創膏が毎日のように貼ってあった
そんなことをされて今まで耐えてきたがもう心も限界だったのか
猿山は自傷行為をするようになった
それに気付く者は誰1人とも居ない
猿山家の者はもちろん
あいつと1番仲の良かった天乃というヤツでさえ気づいていなかった
俺はそれが憎くて憎くて仕方がなかった
猿山は天乃のことを信用していたのに天乃はそれを裏切った
天乃、オマエが『弟ができたんだ!』と言ったとき猿山はどんな気持ちだったか知っているか…?
猿山が悲しんでいることも知らずにその話を続けたよな
猿山からすれば唯一自分をわかってくれると思ったオマエに裏切られたのと同じだぞ
猿山はずっと1人だった、頼れる相手もいなく気に入った相手もいなかった
猿山は初めてお前に会った時自分を認めてくれると初めて思えたんだ
「お前なら自分のことを裏切らないで、わかってくれる」
と初めて信用できた人だったんだ
それなのにオマエは猿山を“また独り”にした
それからあいつは誰も信じれなくなった
それに今まで以上に自傷行為も激しくなっていった
それすらもアイツは気づけない
オマエはあいつの隣にいる意味がない
隣にいたってあいつを苦しめるだけだ
本当に憎い
一生呪ってやりたい
でも猿山が止めるから辞めるしかない
暗闇の中で眠る猿山を見つめる
顔を見ると涙を流した跡があった
悲しそうに寝ている
そんな顔を見るとこちらも悲しくなる
本当にニンゲンは憎い、好きにはなれない
でもこいつ、猿山らだおは大好きだ
お前だけだった、ヒトを呪う俺にも優しくしてくれたのは
だから、おまえを苦しめるその呪いをいつか
いつか
いつか
必ず
呪って
やりたい













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。