なんだか、どれだけ歩いていてもなかなか景色が変わらない…本当に進んでいるのか?と不安に思って、案内係として前を歩く中国さんに尋ねてみる。
…1番この森に詳しそうな中国さんだったが、道案内を任せたのは失敗だったかもしれない。
だってさっきもこんな木を見た気がするし…
思わず頭を抱えてしまう。
なんでこんなにも合わないんだ、この人達…
中国さんも聞こえるという事は幻覚では無いらしい。
そっと耳を澄ませてみる。
タッタッタッタッタッ
突如、近くの茂みから何かが飛び出してきた。
何か、と言う事しか分からないほど速すぎて姿も見えない中、咄嗟に…勘で、後ずさる。
ついさっきまで居た場所に鋭い何かが刺さったのが見える。巻き起こる土埃の中、薄らと少しずつ姿が見えてきた。
土埃が完全に無くなった時、そこに居たのは私の父上だった。さっきまで自分がいた地面に刺さった刀…明らかに自分を狙っていたそれに、動かなかったらどうなっていたか、考えるだけで背筋が凍る。
スッと刀が持ち直され、アメリカさんの方へと向けされる。
鋭い目で睨まれると、体が動かなくなってしまう。いつもの厳しくも優しい目とは全く違うその瞳に、ショックからか頭がクラっとした。
後ろからぐいっと腕を引っ張られ、引き摺られた。
私を引っ張る中国さんの顔は、怯えたような、悲しむような、複雑な表情を浮かべていた。
隣で同じようにアメリカさんが引っ張られているのが見える。
引きずられるようにして走りながら振り返ると、先程と同じ冷たい瞳で、誰かと話す父上の姿がぼんやりと見えた__
中国視点
あれから10分程走り、少し開けた安全そうなところまで来た。日本の奴は、手を離した途端にその場に座り込んで、数分程啜り泣いている。
…まあ、我だって多分…あまり想像はつかないが、親しい人に殺されかければこうなるだろう。だからこそ仕方ない、そう思ってそっとしている。
アメリカの野郎も日本の隣で同じように座り込んでいた。泣きはしていなさそうだが、未だに顔はあげていないから表情が読めない。
顔を上げてそういう日本の顔はどこか決意に満ちた顔をしていた。
なんで此奴らは揃って急に顔上げて喋り出すアル?ビビらせないで欲しいアル…
あの日帝が誰かの下に付くとは思えないし…どんな奴アルかねぇ…
…その瞳は、どこか使命感のような何かに燃えているような瞳だった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!