声も口調もまんまイタリアさんだ。まあ、もうここに来て三国も現実の国がこっちに来ているんだし、まあ来ていてもおかしくないか。
…にしても、なんだか言い争ってるみたいだな…
行ってみるか。そう思い、声のする方へと歩き出した。
そこにいたのは、撃たれる銃をなんとか避け続けるイタリアさんと、
彼を狙う銃弾を放つ、彼の父親…イタリア王国さんがいた。
正直一瞬困惑で頭が回らなくなったが、とにかくこの状況を何とかしないと。
そう思って、イタリア王国さんの数メートル前に立っているイタリアさんの前に立ち塞がった。
イタリアさんを庇うような姿勢で、まっすぐ目の前のイタリア王国さんを見据える。
パンッと発砲音が響いたその瞬間、足元の地面に、黒く小さな円状に焦げ跡がついた。
…威嚇射撃というやつだろう。今私達は銃を持つ、此方を攻撃する意思のある人の前に立ってるんだ…
今まで、モンスターばかりに襲われてきていたからか、父上の時のような、人からの明らかな敵意にぞくりと背筋が凍るような感覚がした。
出来る限り声が震えないように、真っ直ぐ目を逸らさずに言い切ってみせた。怖い…殺されるかもしれない。彼が引き金を引くだけで私は死ぬかもしれないんだ…
嗚呼、やっぱり父上は私の事を忘れているのか…昨日私を襲ったのも、父上に似ただけの誰かだと思っていたかったのに。
じーっと、私の顔を見つめてくる。
…正直怖い…イタリアさんとはまた違って、なんというか…威厳というのだろうか?オーラと言うのだろうか?…とにかく、圧力のような何かを感じて息苦しい。彼自身はあんなにひょうひょうとした態度なのに…
後ろから、弱々しい声でイタリアさんがそう言った。
また発砲音が響いた。
今度は真っ直ぐに、その弾が私へと飛んでくる。
なんだかゆっくりに見えた。
咄嗟になのか、なんなのか…体が勝手に、ギュッと恐怖から目を瞑りながら、剣を構えていた。
カンっと金属同士がぶつかる音がする。
間抜けた声だけが静まり返った空間に放たれた。
…恐る恐る目を開ける。どこも痛くない。
当たって、ない?
何が起きたのか自分でもよく分からないまま、イタリアさんに腕を引っ張られるままに逃げ出した。
体感では10分以上走り続けて、宿の近くの大通りまで戻ってきた。近くにあった街灯に肩で息をしながら手をついた。
きらきらとした瞳で見つめてくるのに、少し困ってしまう。正直あの時は自分でも何をしたか正直覚えてない…
こうして、私達はこの世界に来た時のことや能力の事、父上の事などを話しながら歩いて宿へと向かった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。