第29話

8夜道を駆けて(2)
30
2025/07/27 13:07 更新
累
ありがとう。今日は楽しかったよ...!
























累達が話している間、私は強い何かに怯えていた。































強い鬼の匂いがした。




































怖くて私、何も言えなかった。






































お父さんとお母さんが、外へ行ってすぐに、お母さんの悲鳴が聞こえた。






































累もそれを聞いて外へ出て行ってしまった。






































私は怖かった...。
































でも、大切な家族の為、私も縁側の方へ急いだ。










































──────両親の姿はもうどこにも無かった。




































洋服を着た男の鬼が、縁側に立っている。








































その鬼は私を見て、一瞬静かな笑みを浮かべ、そのまま姿を消した。

























目線を下に向けると、累が畳の上に倒れていた。



































私は累に駆け寄った。




































綝
累っ累!!




























累の苦しむ声が痛々しく部屋に響く。








































綝
累っ...!!





























昔、おばあちゃんが言ってた。




































鬼は人を喰って強くなる。






































それによって生きてるんだって。






























累は匂いからして鬼になってる。





































綝は自分の強い力を持つ血を累に分けてあげた。



































少しでも累が、楽になるように。






































綝
っ!!!

































突然、累が綝に襲いかかった。



































私は累共々、畳の上に倒れてしまった。
































累は私に覆いかぶさっていて、肩を強く掴まれ、逃げられない。


























綝
る...い...。




























累はもう人間の姿ではなかった。



































鬼となり累の髪は白くなり、口には牙が生えていた。









































変わり果てた累の姿に、綝は絶望こそしていたが、まだ累のことは信じていたかった。

































一緒にいたかった。



































たとえ鬼になろうとも、綝は累を見捨てたりしたくなかったのだ。





































綝
累...!お願い思い出してっ...累!!








































もうダメだ。
































そう思い、一瞬目を閉じたその時。











































ぽたぽたと上から何かが落ちてきた。












































目を開けると、累が大粒の涙を流し、震えていた。


































累
ごめん...綝...っ...ごめん...。

























かろうじて聞き取れるほど、小さな声で累は言った。


































綝
ううんっいいの、大丈夫。きっと大丈夫だから!






























累は泣き崩れてそのまま綝の上に倒れた。






































そして強く綝を抱きしめた。










































累
俺っ...俺...うっ...。





















綝
累っ...。























綝は優しく累の頭を撫でた。

































悲しかった。
























辛かった。































後悔しても、もう遅い。

































累は鬼に変わった。
































自分には何が出来る...?
























その時、累が苦しそうに体を強ばらせた。









































































綝
累っ!




























累はまた、理性を失いそうになり、綝を傷つけないように、家を飛び出した。






































そしてそのまま、走り続けた。










































どこまでも、暗い、夜の中を...。






































そして累が辿り着いた先が、那田蜘蛛山だった。

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