『あの、ハァハァハァハァ』
俺が病院に行くと、そこには身体中傷だらけのあなたがいた。
正確には横たわっていた。のかもしれない。
『あなたは…?』
首を振る仕草がやけに憎くて
理解できなくて
俺は立ち尽くした。
涙をこらえ、ただ絶望していた。
そんな俺にあなたのお母さんが
母「これ……」
手渡されたのは小さな箱だった。
『こ、れは』
母「あの子、これ持ってはりきって出かけたの。だから、きっと風磨くんに……」
その箱はつぶれていた。あなたの手跡と、抱き抱えたような後が残っていた。
蓋をあけるとそこには、金色のネックレスと可愛らしい丸い文字でかかれた手紙が入っていた。
そしてまた彼女の首にも血で染まってはいるもののおなじネックレスがついていた。
その手紙には未来があると信じ、希望に包まれた彼女の言葉がならんでいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!