ちょいモヤっとした感じで1章【完】です!
ということで、毎回恒例の(?)おまけコーナー✨
sm side
夏祭りからいつの間にか2週間程が経った。
街並みは賑わいも落ち着き、元の調子を取り戻している。
僕とイエナはと言えば
毎年ヨンボガの家にお邪魔してたけど、今年はリノの厚意で朝鮮半島の色々な所を見て回っている最中。
今日も一日中各所を歩いて回った。
窓からは青白い三日月が顔を覗かせていた。
今は、ビニのツケで陸軍の宿舎にある一室を借りてる。
部屋は広いし、二段式だけど寝床もある。布団はふかふかで幸せだ。
試しに布団を体に巻き付けてみる。
数秒で暖かくなった。ホクホクのキンパになった気分...
夏とはいえ、夜は普通に冷えるのだ。これくらいがちょうどいいだろう。
ビニは寝床の2段目で寝ている。
寝返りをうったのだろう、上からギシッと木がきしむ音がした。
死...
たしかに軍人として生きるなら、自分であれ他人であれ、避けては通れない道だ。
身をよじって、寝床から三日月を眺める。
妖刀について全て知っているわけではないし見聞きもしない、ましてや死を経験してたらここにはいないけど、
1度だけ、今際の際を体験したことがある。
...
宮殿に、突然盗賊が入ってきた。
あの時の警備はしっかりしていたはず。
にも関わらず主人の部屋にたどり着いたあいつらは、相当強い集団だったんだと思う。
盗賊は数人もの家臣を滅多刺しにして、何度も脅した。
この家で1番高い物は、間違いなく僕だった。
それでも主人は僕を鞘から抜いて構える。
それから何度も刀同士がぶつかる音が響いた。
それはもう激しくて、火花が散るほど。
でも、盗賊の方が一枚上手だった。
ガシッ
主人は隙を見せてしまう。
僕は盗賊の 頭 の手に渡った。
盗賊は明らかに怒っているようだ。
刃が手にくい込んで血が流れてもお構いなしに、僕の刀身の両端を握る。
その言葉を聞いた瞬間、僕の身体にとんでもなく強い力が加わった。
グググ......
僕の身体は金属のはずなのに、簡単に曲がった。
痛い。
痛い。
痛い....!
パキッ....
どこからか、何かが割れたような音がした。
違う、僕の刀身にヒビが入ったんだ。
目の前には大粒の涙を流す、盗賊の手下に捕らえられている主人の姿が見えた。
この時僕は悟った。
これが、僕の最期の景色なんだと。
...
久しぶりにこの話を人に話したな...
窓から見えていた三日月は、いつの間にかどこかに行ってしまった。
目には涙が溜まっている。
ビニが上にいてくれて良かった。見られずに済む。
布団を深めに被って、寝返りをうって窓に背を向ける。
『生きててくれてありがとう』
誰かに言われるのは、あの時の主人以来かもしれない。
また涙が溢れてしまいそうだ。
悲しみの涙ではない。
笑みがこぼれて、心があったまる...そういう種類の。
今の日常が本当に幸せだ。
信頼できる友達と、共に笑い合える空間。
今の僕を形作ってくれてる物全てが、僕の宝だ。
この幸せをもう少しだけ堪能してたい。
だから、今はまだ死ねないかなㅎㅎ
大丈夫だよ。僕はイエナを信頼してるから。
もう一度窓の向こうを見て目を細めながら、僕は眠りについた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。