第15話

おまけ 🐷🐰&🐶
298
2026/02/18 20:57 更新
ちょいモヤっとした感じで1章【完】です!
ということで、毎回恒例の(?)おまけコーナー✨




















sm side
夏祭りからいつの間にか2週間程が経った。

街並みは賑わいも落ち着き、元の調子を取り戻している。

僕とイエナはと言えば
毎年ヨンボガの家にお邪魔してたけど、今年はリノの厚意で朝鮮半島の色々な所を見て回っている最中。

今日も一日中各所を歩いて回った。


金昇玟
金昇玟
ふぅ...今日めっちゃ歩いたわ...
徐彰彬
徐彰彬
おつかれ〜
窓からは青白い三日月が顔を覗かせていた。

今は、ビニのツケで陸軍の宿舎にある一室を借りてる。
部屋は広いし、二段式だけど寝床もある。布団はふかふかで幸せだ。

徐彰彬
徐彰彬
てかイエナどこ行ったん
金昇玟
金昇玟
あぁ、かわや 行ってくるって
試しに布団を体に巻き付けてみる。
数秒で暖かくなった。ホクホクのキンパになった気分...

夏とはいえ、夜は普通に冷えるのだ。これくらいがちょうどいいだろう。
徐彰彬
徐彰彬
夜中に厠って、怖くないのかよ...
ビニは寝床の2段目で寝ている。
寝返りをうったのだろう、上からギシッと木がきしむ音がした。
金昇玟
金昇玟
陸軍の偉い人なのに怖いの?ㅋㅋ
徐彰彬
徐彰彬
べ、別に関係ないじゃん...
そりゃあ幽霊は怖いし、死だって...怖い
死...
たしかに軍人として生きるなら、自分であれ他人であれ、避けては通れない道だ。
徐彰彬
徐彰彬
スンミナとかハニは死ってあるの?
ハニは毒味役もやってるくらいだし、ある程度は不死身そうだけど
金昇玟
金昇玟
僕ら一応金属だからね....そういう面で言うと人間より多少は強いかも
身をよじって、寝床から三日月を眺める。


金昇玟
金昇玟
でも...死はあるよ



妖刀について全て知っているわけではないし見聞きもしない、ましてや死を経験してたらここにはいないけど、






1度だけ、今際いまわの際を体験したことがある。





金昇玟
金昇玟
あれはイエナに出会う前だった。
もう700年も前かな...

まだ貴族の刀として主人の腰に携えられてたとき。














...




...
おい!金目の物を出せ!!
宮殿に、突然盗賊が入ってきた。


あの時の警備はしっかりしていたはず。
にも関わらず主人の部屋にたどり着いたあいつらは、相当強い集団だったんだと思う。


盗賊は数人もの家臣を滅多刺しにして、何度も脅した。
...
ふふ...この家で1番高い物を差し出せ。そしたら生かしてやる

この家で1番高い物は、間違いなく僕だった。

それでも主人は僕を鞘から抜いて構える。

...
雲木槿、いけるかい?
雲木槿
     うん、余裕。任せて










それから何度も刀同士がぶつかる音が響いた。
それはもう激しくて、火花が散るほど。






でも、盗賊の方が一枚上手うわてだった。





ガシッ
...
ッ!?
...
その刀...なかなか良さそうじゃねえか...ㅎㅎ
主人は隙を見せてしまう。
僕は盗賊の かしら の手に渡った。
...
でも、もうなんでもいいわ...
俺と闘って、ここまでしぶといのはお前が初めてだよ
盗賊は明らかに怒っているようだ。

刃が手にくい込んで血が流れてもお構いなしに、僕の刀身の両端を握る。
...
何をする気だッ!
...
こいつはどうやらお前の愛刀らしいな...
こいつを折れば、お前は絶望するか?ㅎㅎ
その言葉を聞いた瞬間、僕の身体にとんでもなく強い力が加わった。


グググ......
...
やめろッ!
僕の身体は金属のはずなのに、簡単に曲がった。







痛い。

痛い。

痛い....!






雲木槿
ご主人、様...
...
スンミナッ...!!



パキッ....
どこからか、何かが割れたような音がした。






違う、僕の刀身にヒビが入ったんだ。
...
フフフ....
雲木槿
うっ...
...
もうやめろッ!
目の前には大粒の涙を流す、盗賊の手下に捕らえられている主人の姿が見えた。








この時僕は悟った。





これが、僕の最期の景色なんだと。




























...



金昇玟
金昇玟
.......その後他の貴族からの援軍が来て、盗賊の脳天に矢が命中して事なきを得たんだ。

と言っても、その時はヒビがかなり進んでて、もうちょっとで折れるとこだったらしいよ。
全然覚えてないけど...
徐彰彬
徐彰彬
........


久しぶりにこの話を人に話したな...



窓から見えていた三日月は、いつの間にかどこかに行ってしまった。

目には涙が溜まっている。
ビニが上にいてくれて良かった。見られずに済む。

金昇玟
金昇玟
ごめん、ちょっと話しすぎたわ。...もう寝るね
布団を深めに被って、寝返りをうって窓に背を向ける。







徐彰彬
徐彰彬
......スンミナ
金昇玟
金昇玟
........なに


徐彰彬
徐彰彬
...お前はやっぱり国の宝だよ。

生きててくれて、ありがとう。


『生きててくれてありがとう』
誰かに言われるのは、あの時の主人以来かもしれない。

また涙が溢れてしまいそうだ。
悲しみの涙ではない。


笑みがこぼれて、心があったまる...そういう種類の。





金昇玟
金昇玟
...ビニ、なんだかヒョンみたいㅎㅎ
徐彰彬
徐彰彬
そうか?
スンミナの前だと強くありたくなるのかもな
金昇玟
金昇玟
チャンビニヒョン...ㅋㅋ




今の日常が本当に幸せだ。

信頼できる友達と、共に笑い合える空間。
今の僕を形作ってくれてる物全てが、僕の宝だ。


この幸せをもう少しだけ堪能してたい。



だから、今はまだ死ねないかなㅎㅎ



徐彰彬
徐彰彬
そういえばイエナ遅くね?
金昇玟
金昇玟
それな、道にでも迷ってんじゃない?暗いし
徐彰彬
徐彰彬
行灯持たせてやれば良かったな...


大丈夫だよ。僕はイエナを信頼してるから。
もう一度窓の向こうを見て目を細めながら、僕は眠りについた。

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