ドアが閉まる音が、
やけに大きく響いた。
まるで外の世界を断ち切ったみたいに、部屋がしんと静かになる。
その静けさに、自分の呼吸の熱さが際立った。
私はガスマスクに手を伸ばす。
金具を外す指先が少し震えていて、
それが今日の疲れなのか、別の理由なのか、自分でもわからない。
ガスマスクを持ち上げると、
こもっていた熱が頬から一気に解放され、
首筋までじわりと涼しい空気が触れた。
次に上着を脱ぐ。
肩を抜く動作に合わせて、
胸が柔らかく揺れる。
汗を吸ったインナーが胸を離れるときの“ぺたり”とした音が、
妙に生々しくて、部屋に落ちた。
ブラ一枚になった胸が、
呼吸のたびにゆっくり上下し、
シーツよりも温かい空気を部屋いっぱいに広げていく。
短パンを下ろすと腰のラインが出て、
太ももに触れた冷気が、ぞくりと肌を走った。
そのままベッドに倒れ込むと、
胸がふわりと揺れて自然に落ち着く場所へ流れ込む。
シーツの冷たさと、胸の温度差が鮮明で、
思わず小さく息が漏れた。
部屋の時計が静かに日付を跨いだころ、私はゆっくりと立ち上がった。
一日の終わりを告げるように、深く息をひとつ吐く。
洗面所に向かい、淡い照明の下で歯ブラシを手に取る。
リズムよく磨きながら、今日の出来事を自然と思い返す。
口をゆすいで顔を上げると、鏡の中の自分はどこか疲れていて、仮面をつけているように見えた。
次に、髪をブラシで丁寧に梳かす。
根元から毛先へ滑らせるたび、絡まりがほどけ、
気持ちまで静かに整っていく。
整えられた髪を手で軽く整えて、照明を落とした。
部屋に戻ると、ベッドの毛布が柔らかく沈んでいた。
空気はひんやりしているのに、その場所だけは温度を保っているようで、
自然とそこに身を預けたくなる。
毛布の中へゆっくりと潜り込む。
柔らかな暗闇に包まれると、肩の力がほどけていく。
締め付けから解放されたい気持ちで、
布の中で手を動かし、静かに下着を外した。
誰に見せるわけでもなく、ただ心地よく眠るための習慣。…けど寒くなったらさすがに辞めている。
ふっと胸の重みが緩み、呼吸が深くなる。
毛布を胸元まで引き寄せると、
静けさだけが寄り添ってくる。
そうして、毛布の中で体勢を少しだけ整える。
枕に頬を預けると、柔らかい感触がこめかみを包んだ。
部屋の静けさは深夜のそれで、遠くの機械音がわずかに響くだけ。
けれど、その微かな音さえ子守唄のように感じられる。
呼吸はゆっくり、自然と深くなっていく。
胸の上下が柔らかいリズムを刻み、
ちょうどよい温もりが全身に広がった。
明日もまた掃除屋として動く。
ひとつひとつが淡く浮かんでは、ゆっくりと沈んでいく。
毛布を軽く握りながら、もう一度深く息を吸う。
体の力が抜けると、
心の奥まで静かに温まるような感覚が広がった。
まぶたを閉じると、暗闇は怖くなくて、
むしろ私みたいな人間に優しく寄り添うみたいだった。
そして――
そのまま穏やかに、眠りへと落ちていった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。