※前回の続きから
見てない人はそちらを先に見てください!!
空気が変わった。
いや、そんな気がしただけかもしれない。
でも、私を見つめるしゆんくんはどこか顔つきが変わっていた。
しゆんくんの言ってる意味がよく分からなくて頭にはてなを浮かべる。
そんな私の気持ちが顔に出てたのか、しゆんくんはくすりと笑ってバッグから1つのブローチを取り出した。
考えるよりも先に口が動いた。
そう言ってしゆんさんが嬉しそうに笑う。
そんな顔を見るのは初めてで不覚にもドキッとしてしまう。
焦って思わず訳の分からないことを口走ってしまった。
何言ってるんだろう。今はまだ春とはいえ全然寒いのに。
でも何故か顔が熱い。
本当に赤くなってる気がする。
そんな顔をしゆんくんに見られたくはなくてブローチの方に顔を向ける。
そのブローチは、鳥のような形をしていて、鳥の目の部分に深緑色の宝石が埋め込まれていた。
羽の部分も青緑になっていて、背景がうっすらと透けて見える。
そこも充分に綺麗だったが、何より宝石に目を惹き付けられる。
その宝石は何とも言えない魅力があって一瞬で心を奪われた。
すると、しゆんくんがその宝石を指さして言った。
思わず名前を口に出す。
あんま覚えてねぇけどwとしゆんくんは笑う。
途中で自分が何を言ってるのか分からなくなって黙り込む。
沈黙から抜け出そうとさっきの気持ちに当てはまる言葉を探す。
少し悩んで出てきた言葉は、単純だけど他のどんな言葉よりしゆんくんに合っている気がした。
気を悪くしたかも知れない。
おどおどしながらしゆんくんの顔をソーっと覗き込むと、しゆんくんは静かに泣いていた。
しゆんくんが泣くのを見るのは、初めてだった。
あれから数分がだってしゆんくんの涙が止まってきた。
なんて声を掛けたらいいのか分からず、言葉を探しているとしゆんくんがゆっくりと口を開いた。
何の話か分からず疑問を口にする。
子供の俺が言うのもなんだけどwとしゆんくんは笑う。
すると、しゆんくんはポツリポツリと話し始めた。
馬鹿にされるの方があってるかなwとしゆんくんは笑う。
“ただ”
すると、しゆんくんはこちらに向き直り口を開く。
次回「翡翠のまち」最終話
𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮 𝐟𝐨𝐫 𝐰𝐚𝐭𝐜𝐡𝐢𝐧𝐠.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。