「るいっ」
「おはよう、寧々。突然『一緒に学校に行こう』だなんてどうしたんだい?」
「なんか、体が重くて……。熱はないから学校は行かないとだし。だったらお母さんからも一応信頼されてる類と一緒に行こうかな、って」
別に、此れが理由な訳では無い。だけれど嘘も云ってない。理由がもう一つ有るだけだ。
「フフ、じゃあきちんと送り届けないとね」
「よろしく」
二人で横に並び、駅に向かって歩き出した。
と、思ったときにふと気づく。
……こいつ、やりおる。
此の幼馴染、行動などは一寸アレだが、顔はいいので女子に人気が在る。所謂、モテると云うやつだ。唯、其れに加えて。今、サラッと車道側に動いていた。さっきまでは私が車道側に立っていたというのに。こういうことをするから女子がキャーキャーと黄色い悲鳴をあげる。御陰で周りは動物園と化す。顔が良いばかりに、猿が増殖。
「前までは、ずっと二人で遊んでたのにな」
無意識に呟いていた。
「そんなことを思っていたんだねぇ」
「あ、いやその、あっえ、そのっっ」
すごい声が出た。ばしばし、と彼の腕を叩く。
「フフ、痛いよ寧々」
私の心の内は全てバレているんじゃないか。
「思ってないでしょっ。効いてないもん……」
すると何故か、彼は笑みを浮かべた。先程まで此方に向いていた視線は空の彼方にある。
「―――――――――」
なんと云っていたのか、私の耳には届かなかった。身長の差が邪魔をした。
――――僕も、同じことを思っているよ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。