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新しくヨリシロに選ばれた少年。
正直、変な奴だと思った。
「人間じゃなくなる」という言葉を聞くなり、濁っていた瞳を輝かせるんだから。
人間であることがどれだけ幸せなのか、きっと理解していないんだ。
ヨリシロに選ばれた人間の体は、鳥、魚、虫、時には恐竜にだってなる。
そりゃ空を飛べるやつだっている。
でも、俺はそれを素直に喜べないんだ。
俺だって、素直に楽しむことが出来たら、どれだけ良かったか。
………あ、そうだ。
今日で姉さんがここにきて一年経つんだっけ。
まぁ、姉さんなんて呼んでるけど、実際は血の繋がりなんてないただの他人だ。
……でも、姉さんが「あたしの事はお姉ちゃんだと思って良いからね!」って、楽しそうに笑うから。
今まで何回もヨリシロが完成するところを見てきた。
苦しみながら人間性を失っていく仲間の姿を見ては、いつも涙をこぼしていた。
新しく来た少年とは、極力関わらないようにしよう。
どれだけ仲良くなったって、どうせ別れることになるんだから。
ここでは間違いどころか、正解すらないんだから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!