ただひたすら走るボクの後を、さっきの青年が追いかけて来る。
あれ、ボク、どこに向かって……
そもそも何で走ってたんだ?
この森、花畑なんてあるのか。
黙々と歩き出した青年の後を、小走りで追った。
お花畑の中心に、踞って震える女性が居た。
その女性は、青年の姿を見るなり微笑む。
表情を変えずそう言う青年の背中は、どこか悲しそうに見えた。
女性は立ち上がって、へらりと笑う。
先程までは弱々しく震えていたのに、青年を見るなりこんなに元気になるなんて。
無言で黙りこんだ青年を見て、次は苦笑した女性。
表情が豊かな人だな、
でもこの人……
この人、右腕がなんだか変だ、
何か、猫の手……みたいな。
それに、両足も……
………足?
いや、これは、
そう、人魚。
おとぎ話に出てくる様な、綺麗な鱗がついている。
なるほど。
ヨリシロが完成するのは一年後だが、その一年間をかけて少しずつ体の部位が変化していくんだ。
本当にキメラみたい……いや、キメラ以上だ。
よく見たら、女性の瞳は「鷹」のようだった。
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途端に、女性が喉を押さえて苦しみだした。
女性の身体中に鱗が浮かび上がる。
目、口、鼻、至る穴から血が吹き出す。
10秒も経たないうちに、女性は惨めな肉片へと変わった。
これが、「完成する」ということなのか?
違う、
ボクは確かに、人間ではないナニカになることを望んだ。
違う、
ボクが望んだのは………
あ れ 、
ボク は 何 に な り た か っ た ん だ っ け ?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!