前の話
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幸せとはなんだろう。
仕事をして、家庭を築いたり、友達と一緒に語らったり、趣味に没頭したり、
こんなところだろうか。
結局は毎日毎日同じことの繰り返しだ。
朝起きて、朝食を食べ、仕事をして、夕食を食べて眠りにつく。
この中で起こったことなど数日もすれば忘れてしまう。
ただこれの繰り返し。
毎日同じことを言われ、毎日同じ仕事をする。
もう、こんな同じことの繰り返しにはうんざりした。
俺だって、人並みの幸せってものを感じてみたい。
非日常を味わいたい。
こうなったのも、、やめろ考えるな。
もう変えられない。あの時こうしてればなんて考えても無駄だ。
そんなことを考えてるうちに仕事は終わり帰路についていた。
電車のライトが、俺の目に差し込んできたその時、
気づいた時には線路の上に倒れていた。そこで俺は死を悟った。
やっとこの繰り返しのつまらない日常から抜け出せる。
そう思い、俺はそっと目を閉じた。
そこには信じられない光景が広がっていた。
電車は動くのをやめ、まるでずっと止まっていたかのように
振る舞っている。
人々もまた、電車と同じように微動だにしない。
気づくと、そこには背丈が2メートルはあるだろうか、巨大な黒い影が立っていた。
俺はなにが起こっているのか理解できず、固まってしまった。
黒と名乗ったそいつはゆっくりと俺の方へと近づいてきた。
そいつはそう言うとこう続けた。
なんとなくわかってきたぞ
死の直前に見る走馬灯ってやつか?
にしてもなんでこんな走馬灯見るのかわからない。
そういうと、黒はなにもない暗闇へ消えていった。
そして周りの止まっていた電車や人がゆっくりと動き出した。
くそ、なんでこんな時あの時のことなんか思い出す。
そう言いながら目を閉じる。
なにが起こったのかわからず、俺はまた固まっていた。
だんだんと意識がはっきりしてきて、じわじわと痛みを感じた。
やつはそういうと俺を家の外へ閉め出し、扉の鍵を閉めてしっまた。
続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。