2年後 春
志麻side
真っ白な壁が続く廊下をずっと行き、病室をノックする。
2年前までは見慣れた顔たちも、今では少し懐かしく感じる。
うらたさんと最後に会話した救急車の中、彼は約束を守った。『俺を1人にしない。』目を覚まさずとも、ここにこうして3人とも息をしている。それだけで…うれしい。
夏が過ぎ、秋に泣き、冬の中凍えながら何度も何度も夢見た。
また…目を合わせて、みんなと会うこと。
うらたさんのとこに行く。
酸素マスクをつけ、胸元が少し上下している。
この歳になると身長は伸びないが髪は伸びる。彼の髪は当時よりも伸びて肩まで来ている。他の2人も、同じだ。
彼の手を取り両手で包み込む。
2年前のあの日、手と手を離して『またね』と言ったっけな。
覚えてる?春ツアーのこと。
あの曲の歌詞、俺使うことになるなんて思わなかったよ。
俺は病室の真ん中にある椅子に座りスマホを見つめた。
4人で撮った、最後の写真…
ダメだ…涙…堪えてたのに…
机に突っ伏して泣く。早く戻ってきて欲しい。早く俺の名前を呼んで欲しい。
センラ。
はよ目ェ覚ませや。お前がいんとcrewが笑えへんやろ?
坂田。
はよ帰ってこいや。お前がいんとcrewが盛り上がんよ?
…うらたさん。
はよ名前呼んでや。あんたがいんと、crewも俺も生きていけへん。
なぁ約束したやん?必ず戻ってくるって。
痛いほどに強く、咲き誇った俺たちの『花』は、焼け落ちて、燃え尽きて、灰になっても…無くならん。
また咲かせようや。
消えることない、俺たちだけの『花』。
はよ戻ってこいや!!!!
ガタッ
後ろを見ると、本が落ちていた。
なんだ、本か…
近づいてその本を拾い上げる。
え…?
今、うらたさんが動いたように…
呼びかけてみる。
反応は…ない、か。
俺はうらたさんに抱きついた。
うらたさんに抱きつきながら、俺は泣きじゃくった。
3人の傷も回復し、浦島坂田船は復活した。
crewも喜んでくれたが、1番喜んだのは俺かもしれない。
なんか、2年前のことが夢のようだなと思う。パラレルワールド的な感じ?
3人が俺の名前を呼んでくれる。それだけで幸せだった。
ずっと続く幸せな日常、そんなものはない。
やから今を大事に生きてゆこう。
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『あなたにあいたいよ。』完結です。
記念すべき3作品目の完結です。
最後ちょっと返り咲入れてみました。最終回近くに題名が返り咲の歌詞だと気づいたので!
今後とも、蘭華小説よろしくお願い致しますm(_ _)m
近いうちに新作出すかも…?
なのでアンケート!
アンケート
何がいーい?
感動系
44%
BL(感動とか)
38%
曲パロ
9%
BL(死ネタ)
9%
投票数: 45票
これ以外が良い人はコメントお願い致します🙇♀️

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。