朝から雨が降っていた
屋根を叩く雨音が静かに響く
あなたが窓の外を見ながら呟いた
錆兎も外へ目を向ける
空は厚い雲に覆われていた
今日は一日中こんな天気だろう
昼過ぎ
雨はまだ止まない
あなたは湯を沸かしながら居間へ声を掛ける
返事がこない
あなたは振り返る
数秒後
ようやく返事が返ってきた
あなたは小さく首を傾げた
それだけだった
長い付き合いの二人
何となく違和感を覚える
お茶を持って居間へ戻る
錆兎は湯呑を受け取った
変わった様子はない
けれどあなたは向かいへ腰を下ろした
錆兎が一瞬だけ黙る
あなたは確信した
短い返事
いかにも錆兎らしい
あなたは小さくため息を吐いた
即答
あなたはじっと見つめる
その視線から逃げるように、錆兎は湯呑へ口を付けた
あなたは困ったように笑う
即答だった
錆兎は何も言い返さない
あなたは湯呑を両手で包む
錆兎は黙ったまま聞いていた
あなたの声は穏やかだった
雨音だけが響く
しばらくして
珍しく認めた
あなたは少しだけ目を丸くした
さらりと言われる
思わず吹き出した
錆兎は否定しなかった
夕方
雨は相変わらず降り続いていた
あなたは縫い物をしていた
ふと顔を上げる
錆兎は本を読んでいた
……いや
読んでいるように見えただけだった
同じ頁をずっと開いている
あなたはそっと立ち上がった
錆兎が振り向く
あなたは座布団の上へ座り直した
そして
ぽん、と自分の膝を叩く
即答だった
あなたは柔らかく笑う
錆兎が黙る
しばらくして
観念したような声だった
あなたが微笑む
錆兎は静かに横になる
最初は少し落ち着かなそうだった
慣れていないからだ
あなたは何も言わず、そっと髪を撫でる
さらり
指が髪を梳く
雨音が部屋に響く
錆兎は目を閉じたまま答えた
短い返事
けれど本心だった
あなたは少しだけ安心する
錆兎が薄く目を開ける
あなたは優しく笑った
雨音が続く
錆兎はしばらく何も言わなかった
やがて
ぽつりと零れた声
あなたの手が止まる
本当に珍しい
あなたは少し驚いて、それから嬉しそうに笑った
錆兎は再び目を閉じる
外では、まだ雨が降り続いている
その日は不思議と嫌な雨には思えなかった
今回は一話だけ
ごめんなさい🙇♀️











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。