あべちゃんのノートは句読点で改行します!by作者
あなたちゃん。
今日君が経験した貴重な体験を忘れないよう、
僕はこのノートにこっそり今日の出来事を
書き留めておこうと思う。
いつか君がこれを読んで、
自分がいかに大きな発見をしたか、
思い返すために。
君がデパートの屋上で「ほんとうに人間って分子なのかも」と言ったとき、
君は、
自分では気づかなかったが、
ずいぶん本気だった。
君の顔は、
僕にはほんとうに美しく見えた。
しかし、
僕が感動したのは、
そればかりではない。
ああいう事柄について、
君が本気になって考えるようになったのか、
と思ったら、
僕はたいへん心を動かされたのだ。
ほんとうに、
君の感じたとおり、
一人一人の人間はみんな、
広いこの世の中の一分子なのだ。
みんなが集まって世の中を作っているのだし、
みんな世の中の波に動かされて生きているんだ。
もちろん、
世の中の波というのも、
一つ一つの分子の運動が集まってゆくのだし、
人間はいろいろな物質の分子とはわけのちがうものなんだし、
そういうことは、
君がこれから大きくなってゆくにしたがって、
もっともっとよく知ってゆかなければいけないけれど、
君が広い世の中の一分子として自分を見たということは、
決して小さな発見ではない。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!