第15話

?-?.いじめられ少女と変わった日常
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2023/08/27 04:24



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ねーねー、今日みんなで遊ばない?
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え、いいじゃん!!あたし──のメイク研究したいんだけど!
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お、遊ぶってことはカラオケ行くの?
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うーんどうだろ。行きたいけどね〜
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いいじゃん、──の美声聞かせてよ笑
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美声とか〜笑 まあ私のお母様から遺伝子継いでるからね笑
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『お母様』って笑 けどやっぱ歌手の娘って凄いね〜、最高98点だっけ?
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そうだね、今度こそ100点目指したいんだけど笑


クラスの女子達が会話をする。ごくごく普通の放課後の話。



───私の上で。

『私の上』。権力的な話じゃあない。物理的に。

何を言っているのかって?単刀直入に言う。

いじめられてるんだよ。この3人に。

???
…あの、そろそろ休み時間、終わりますよ……?


途切れ途切れで話しかける。勇気を振り絞って。

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………は?何、退けって?
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アンタの分際で降りて欲しいとかほざいてんの?


ただそれも虚しく、帰ってきたのは冷たい反応。

あと数分で休み時間が終わるってのに、私は四つん這い。3人の内の1人が私の上に座っている。正直クッソ重い。何キロだよコイツ。

???
……は〜あ、なんで私なんだろ。


正直分かっていた。私の性格上いじめられる事は。

私は根暗で、友達なんかいない、ぼっち陰キャ。自分の意見なんか怖くて言えないタイプ。

それに比べあの3人。特に──は超有名歌手の娘という肩書きで様々の人を下に付けている。
それに金魚のフンの様にしがみつき、煽て、友人ポジションにいるのが2人なのだ。

クラスメイトは当然何も言わない。逆らったら自分がいじめられるから。
酷いよね。けど、結局私がクラスメイト側だったとしてもそうすると思う。

先生もそう。見て見ぬふり。校長先生だってそう。私に味方してくれる人なんか1人もいない。

結局何が言いたいかって?

何か言いたいわけじゃないんだ。誰も共感してくれないから。せめて私のどこにもぶつけられない愚痴を聞いてさえしてくれれば──

???
……なんてね。


そんなの叶わないって分かりきってるから、心の中で唱えるだけなんだよな。




そう思いながら、お下がりのイヤホンを付けて帰り道を歩く。

私は帰宅部だ。なのに今の時間は5時半。

ここまで言ったらお分かりだと思うが、アイツらのストレス発散に付き合わされている。
───いや、ストレス発散の道具・・になっている。

袖をめくると酷い痣。全てアイツらによって出来たもの。

???
……い"った…!!


試しに押すと酷い激痛。

………はあ、どうしてこんな目に合わなきゃいけないんだろう。



──朝。今日も憂鬱な気持ちで登校する。

???
……お、おはよう…ございます………


自分でも惨めだと分かる。ビクビク怯えてて。

相手がいい気持ちになっているのを分かっているのに。

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……お、???ちゃんじゃ〜ん♪
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今日も???ちゃんなら持ってきてくれてるよね?


嫌味の様にゆっくりと口が走る。

正直この瞬間が1番嫌いだ。だって───

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お・か・ね♡
???
…………


耳元で囁かれる言葉は、この世で1番最低で最高な言葉。

まあ分かりきっていると思うが、私は毎日コイツらにお金をあげているのだ。……そう、毎日。

昨日もカラオケに行くとかほざいていたが、それも私のお金で行ったのだろう。憎たらしい。


そう心の中で毒を吐きながらも、封筒を手渡す。

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……お、今日は全部1000円札なの?
???
はい。……ごめんなさい。
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いやいや〜、謝られる筋合いなんてないよ〜
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いやー、いつもほんとにありがとね♡


ほんとにそうだよ。というツッコミを勝手にし、──を見上げる。

すると3人は去っていき、私は1人になった。

これが日常。昔とは変わってしまった私の。

そして今日もいつも通りの1日が過ぎていく。






と、思っていたはずなのに────

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