第7話

2ー2 悩める少女の迷い道
145
2023/02/21 11:38
相原あいはら 涼音すずね
……はっ…はっ……
相原あいはら 涼音すずね
走って来ちゃった……


勝手に家を飛び出してしまった。
お母さんも涼太もさぞかし驚いただろう。
しかも手には涼太の大事なおもちゃが握りしめられている。
帰りたいけど………怖いなぁ…………

ぐうううううううう………

相原あいはら 涼音すずね
うぅ……お腹減った………


帰りたい。けど気まずくて帰れない。
キョロキョロと周りを見渡す。
お母さん達は追いかけて来ていないようだ。

お腹が空いたことによって私はイライラしてきた。

相原あいはら 涼音すずね
(なんで追いかけて来てないの!?お母さんは私の事なんかどうでもいいんだ!)
相原あいはら 涼音すずね
(涼太も………!!元はと言えば涼太のせいなんだからね!)
相原あいはら 涼音すずね
(………そうだ!)
相原あいはら 涼音すずね
………涼太のおもちゃ、売ってやろう!!


小学生の知能と行動力は恐ろしい。
思い立ったらすぐ行動。
大人なら無理だと思うことにも全力で取り組む。

………いつもならいい事だが、今は状況が違う。

ただ、止める人がいないことによって涼音はどんどん計画を進めている。

相原あいはら 涼音すずね
(おもちゃ売ったらお金貰えるよね!)
相原あいはら 涼音すずね
(そしたらそのお金でお菓子買おう!!)
相原あいはら 涼音すずね
(いっせきにちょーってやつ?おっとく〜♪)


だが、買取はそう甘くないものなのを涼音は知らなかった。








………どうしよう。
全然お店見つからない!!
見つかってもアクセサリーとかだし……
家も…どっちだっけ……?
迷子とかやだよぉ…………
ぐううううううう………ぐううう………
相原あいはら 涼音すずね
……お腹空いた…………
相原あいはら 涼音すずね
…………とりあえず歩こう……



勿論おもちゃの買取屋は数少ないし、子供が相手されるわけない。
───そして、涼音はそんなことを知らない。
存在しない『おもちゃ買取屋』を目指して涼音は歩き続けるのであった。



何処屋 夜流いずこや よる
………ん、しょ。……よし!


作業をする夜流に依兎が話しかける。

万事屋 依兎よろずや いと
店長。何やってるんですか?
何処屋 夜流いずこや よる
もう!ふ・た・り・き・りなんだから夜流って呼んでよ〜!!
万事屋 依兎よろずや いと
……2人きりを強調しないでください。ハッキリ言ってキモイです。
何処屋 夜流いずこや よる
うぐっ………


そんなことより、と依兎は続ける。

万事屋 依兎よろずや いと
それは何ですか?のぼり?
何処屋 夜流いずこや よる
えっ!わかった?せいかーい!!


どうやらよく店の外にある、宣伝用ののぼりを作っていたようだ。
………ここが異世界であることを忘れてないといいのだが。

万事屋 依兎よろずや いと
……それは何用で?
何処屋 夜流いずこや よる
何用って……宣伝用とか?集客用とか?
万事屋 依兎よろずや いと
………必要ありますかね。異世界ですが。
何処屋 夜流いずこや よる
辛辣!!やめてよ!!


笑いながらつっこむと、2人は店の中に入っていった。

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