「…、誰。」
愛情ゼロのその声を聞いた時、世界が終わったのかと思った。
そのとき、咄嗟に言った。
あなた。お前の、親友だよ、って。
いきなり恋人、とか言われてもさ。
男同士だし、結構ビックリするかなって思って
俺だったら気持ちの整理とかつかないから、
親友だよって、そう言った
正直に言えば、良かったのかな。
そしたら、そしたら、元通りになったのかな。
「あなた!俺好きな人出来た」
「いや一旦ガチで聞いて欲しい。これやーばい。」
「一目惚れってヤツ?ガチであんだね」
「なあ…聞いてる?」
頭が真っ白になった。
比喩とかじゃなくて、本当に。
海にスマホ落とした時も、家の鍵落とした時も
今まで味わったことない感情だった。
何を言ってるのか、分からなかった。
右からも入ってこない。
耳栓で塞がれたみたいに、何も聞こえなかった。
『、女の子?』
多分、酷い声してただろうなって。
そんな声絞り出して聞いた。
自分の首締めるようなこと、聞いた。
「はぁー?女のコだけど」
「嫉妬すかあなたサンw」
泣き崩れなかった俺を褒めてやりたかった。
そいえば、俺と付き合うまでノンケだったっけ。
記憶喪失って、そこまで根こそぎ持ってっちゃうんだ。
『嫉妬じゃねー、ばーか。』
震えて細くなったダサい声で呟いた。
「 記憶喪失の恋人に、好きな人が出来た話 」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。