第70話

70.試験へ向けて、勇気を貰って
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2024/04/23 15:00
noside


そして翌日、いつもの彼らはそれぞれ選抜試験に向けて準備を始めていた
フィン・エイムズ
しかし、302号室には3枚の金のコインと険しい表情でにらめっこしているフィンが


こうなった理由は…


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マッシュ・バーンデッド
あの…この前のレアン寮でのコイン
マッシュ・バーンデッド
一人3枚ずつって感じで
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そして一人3枚ずつ金のコインが配られたのだが、そこが問題になった理由である


今回の選抜試験は前倒しになったのもあって金のコイン3枚以上所持している生徒が参加することになった


…つまり、金のコイン3枚である彼も参加しなくてはならないのだ
フィン・エイムズ
…いや、無理!!!
参加するつもりもなかった彼はギャン泣きである


ひたすらにどうしようと頭を抱えていると、部屋のドアが開く
あなた
…とりあえず糖分補給しとく?
フィン・エイムズ
呑気!!
相も変わらずシュークリームの乗った皿を持って、そう話しかけるあなた
フィン・エイムズ
というか、あなたちゃんも出場しなきゃいけないじゃん…!?
フィン・エイムズ
なんでそんな落ち着いてるの!?
あなた
今さら焦っても遅いかなと
フィン・エイムズ
珍しく正論言わないでよ!!
フィンの向かい側の椅子に座ってパクリとシュークリームを頬張りながら答える


そんな彼女に彼は少々ディスりの入ったツッコミをしてしまう
あなた
フィンならきっと大丈夫。私が保証しよう
かと思いきや、あなたは唇にクリームを付けながら真っ直ぐ彼を見て言い放つ


無表情ながらも安心感のあるその言葉に、思わず彼は少し感動する
フィン・エイムズ
あなたちゃん……
あなた
もちろん、私も全力で勝ちにいくけど。お互い頑張ろう
フィン・エイムズ
やっぱ無理だぁぁぁぁぁ!!!!
二言目でゴリゴリにフィンの精神を削っていく


かなりの強さを誇る彼女に全力で来る。などと言われたら、彼にとっては大ダメージだ


そんなことにも気付かず、あなたはシュークリームを頬張り続けていたが
あなた・あなたの名字side


夕焼け空が広がる時間帯


…少し声が聞きたくなってとある人達に電話をかけた
あなた
…あ、お父さん
すぐさま出る音がして声をかける


お母さんは伝言ウサギ持ってないから必然的にお父さんにかけることになるんだよな
あなた!!きゅ、急にどうしたんだ!?病気か!?怪我か!?
あなた
違うって…落ち着いてよ
相変わらずせわしない人だ


私から連絡ってしないことが殆どだけどさ…
そ、そうか…すまんな…
あなた
いいよ。えっと…その、私から言いたいことがあって
あなた
…私、やりたいこと見つけたよ
言い切ると、お父さんの声が少し遠くなる


奥から聞こえる高い声…お母さんかな
本当か……良かった…、やりたいことがどんなものか教えてくれるか?
あなた
…神覚者になりたいな。と…
!?ほ、本気か…?
あなた
うん。私は本気だよ
あなた
神覚者になって、誰もが幸せになれるチャンスのある世界にしたい。理不尽に傷付く人がいなくなるように、世界の仕組みを変えたい
気持ちをハッキリと伝える


私の、心からやりたいこと
!……そうか。何というか、オレの娘という感じで安心したぞ
あなた
なにそれ
ハハッ、まあ頑張りなさい
実現できることを願っているからな
あなた
!ありがとう
ちょっとズレてるところもあるけど、お父さんのこういうところ嫌いじゃない
あなた
あ、お母さんにも代われる?
ああ。今代わるな
数秒間の沈黙が続く
あなた!!元気にしてる?
あなた
うん。お母さんも?
ええ。…良かった。あなたの声が聞けて
聞き慣れた高めの声


呑気なお父さんに比べてハキハキしているお母さんのこの感じが懐かしい
学校はどう?楽しい?
あなた
楽しいよ。友達も先輩もいい人ばっかりで、本当に
ふふ、良かった
くれぐれもその人達に迷惑かけちゃダメだからね?
あなた
分かってるよ
昔から友達なんていなかった私を多分心配しているんだろう


人付き合いといえば常連のお客さんぐらいだったし
…それと、あなたなら神覚者でも、何にでもなれるわよ。きっと
あなたが努力家なことは充分知っているから
大丈夫。信じてる
あなた
簡単な言葉かもしれないけど、私にとっては充分勇気づけられる言葉


この優しさに、昔から触れてきたから
あなた
…ありがとう
それから少しだけ普段のことを話して、電話を切った


…よし、頑張るか
あなた
選抜試験、絶対勝たないと


ゆっくり深呼吸をして、気を引き締めた

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