相模原討伐作戦の怪我も治り、無事退院できた俺はテレビの取材がある中でも厳しい訓練を受け、毎日を過ごしていた。
食堂には毎日行っているので、あなたがシフトに入っている時は顔を合わせている。
だが、特に進展はない。
別に今の関係に不満があるわけじゃないけど。
でも、もう少し何か進展が欲しい。
仲良くなりたい。
病室で伊春くんに言われて確信したが、俺はあなたのことが結構気になっているのだ。
2人で出掛けるとか、ありだよな。
だが、出掛け先はどこがいいのか……?
昼の休憩中、悩みながら歩いていると、ふと基地内にある掲示板のチラシに目が止まった。
「立川昭和記念公園グルメフェス」
期間中の土日祝日に屋台やキッチンカーが出るイベントのようだった。
予定を確認すると、いくつか土日祝で非番の日がある。あなたと予定が合えば行けそうだ。
早速、あなたに連絡する。
あなたからの返信はすぐに来た。
あなたと2人で出掛ける予定ができた。
楽しみもできたし、午後の訓練も気合い入れていこう。
日曜日の朝。
「おはよ市川、休みなのになんか気合い入ってるな、どっか出掛けるのか?」
「おはようございます先輩、きょうはあなたと出掛けてきます」
「おぉ!あなたちゃんと!青春だなぁー、楽しんでこいよ!」
「先輩、今のおじさんっぽいですよ」
「いや、だって青春だろ!」
先輩と小気味いい会話をしながら身支度をする。
「先輩!変なところ、ないですよね」
「レノー!それを聞くなら俺だろ!バッチリだぜ!」
「伊春くん!聞いてたの?!」
「いや聞かれたの俺だし!だが市川、俺からも言わせてもらう、バッチリだ!」
「ありがとうございます!行ってきます!」
俺は先輩と伊春くんに見送られ、公園に向かった。
11時。
立川昭和記念公園、立川口ゲート。
「レノおはよう!お待たせ!」
「あなたおはよ、俺も来たばかりだから」
時間ぴったりにやってきたあなたはジーンズに透ける素材の白いシャツブラウスというラフな格好だった。普段はしていないピアスが耳元で揺れている。
よく似合っていて可愛いな、と思う。
「きょうは誘ってくれてありがとね」
「こちらこそ来てくれてありがとう、あなたとはどっか出掛けてみたいなと思ってて」
「私も思ってた!一緒だね!」
一緒。同じことを思っていたというだけでちょっと嬉しくなる。
「じゃあ行こうか、まずは何食べる?」
「パンフ見てたんだけど、小籠包が気になるかも!」
「俺も気になってた」
『一緒だ!!』
2人の声が重なった。
顔を見合わせて笑い合う。
俺たちは小籠包を買いに向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!