第41話

いざ……。
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2025/03/08 05:21 更新
橙side
橙
うわやばぃ…
橙
緊張してきた……!!
紫
大丈夫、俺も緊張してる
あれから数日後
俺たちはころんの家の玄関の前に、俺となーくんは突っ立っていた


理由は一つ
"あの作戦"を実行するためである


ただ……
橙
えぇ…ほんまに行くん?
紫
行く以外の選択ないじゃん…?
橙
それはそうやけど……
いざ対面、となると、数日前まで『ボコしてくるわ』精神でいた自分が内側に引っ込んでしまった
橙
てか、なんでそんななーくんは前向きなん?
紫
いや、前向きに行こうって思ってるから…
橙
あ、思い込みだけで何でもできちゃうタイプの人間ですか?
なら俺とは最高に相性が合わない
『やればできる』という迷言が一時期流行したが、俺はどうしてもその波に乗ることができなかったのである
つまり俺の場合は、思い込みというものは意味がないものに近いのである










何考えてんだ俺








一様、ころんは今外出しているに
"レジェンドランクの友達と遊んでくる"というテイで。
紫
……スッ
橙
…?
突然、なーくんが右手を伸ばした



その先には……インターホンのボタンが。
橙
ちょ、ちょっと待ってやまだ心の準備が…



ピンポーン
人生で一度は聞いたことがあるであろう音が流れる
それと同時に俺の心は絶望へと押し入った
紫
いや、そんなジェルくんの心の準備ごときで待ってられないよ
橙
ごとき……
紫
さ、来るよくるよ〜!!
紫
悪のボスがお目見えだ〜!!
橙
だからなんでそんな前向きなん!?




ガチャッ
青__親
……?
青__親
誰、あなたたち


なんか、すごく愛想が悪そう
初対面の人間に、敬語を使わない時点でこいつの人間性が見えてしまう



よし、
回想
赤
まず、ころちゃんの親が出てきたら何よりも最初に名前を名乗ってね
赤
『ブロンズランクの上段』ってことも一緒に
橙
え、なんでや……?
青
僕の親はブロンズランクの階級なしにあたります
青
なので、ジェルさんのほうが上なんです
青
最初に名前を名乗っておくことで、色々物事がうまくいくはずです
赤
ってことで、よろしくね
赤
なーくんはどっちでもいいよ
赤
名乗っても名乗らなくてもいい
赤
でも、絶対に
「ジェルくんのほうが上なんだ」ってことは絶対に証明して
橙
すみません、急に押しかけて
橙
俺は、正道会所属、ブロンズランクの上段
橙
nomenノーメンの香橙ジェルです
※nomen…「眠るライリー」の信者
そう言って俺は、左胸のポケットにしまっておいたブロンズランク(上段)を示すバッジをどり出した
紫
…!!
おそらく、なーくんはこのバッジを間近で見たことがなかったのだろう


俺のバッジを見るなり目がびっくりしたように見開いた
青__親
あ……そうでしたか
青__親
それはそれは…申し訳ございません
そういってペコペコと頭を下げてきた



なんやこいつ、急に態度変えてきた
いや、俺が立場を名乗ったからだろう
紫
えっ……
急にころんの親が態度を変えてきたからか、なーくんはころんの親の様子を見てドン引きしている


正道会のランク制度がこんなに厳しいものとは思ってなかったのだろう




俺と正道会との関係は、「仮所属」である
仮所属、というのは、ランクや身分制度は継続されるものの、信仰の内容……まぁ、俺やったら眠るライリーやから「寝る」ことやな
その内容を一切行わないこと信者のことを「仮所属」という


莉犬の場合、不満はあるだろうがちゃんと年に1回行われる「laraの集合」にはちゃんと足を運んでいるし、歌うライリーの方もちゃんと信仰しているらしい


俺には到底できないが。






俺が脱会ではなく仮所属を選んだ理由
それは、"こういう宗教関係のことで役にたつから"である
現に今、俺はころんの親を従わせることができている


こういう時、俺のランクは役に立ったりするからな











さぁ、
ここからが戦いだよ
桃side
桃
なぁ、これって俺たちいつのタイミングで出るんだ?
現在、俺と黄瀬は影で待機中
ジェルとなーくんがころんの親と話をしている最中、ふと疑問が浮かんだ
黄
……今だ!って思った時ですよ
桃
いつだよ
黄
うるさいですねぇ…
黄
そんな大きな声出したらバレますよ
俺がずっと話しかけている間も、黄瀬はジェルたちの方をじっと見つめて目を離さなかった



……なんだコイツ、俺より慣れてるじゃねぇか
黄
……青峰さんの親が二人に手を出そうとしたとき、とか
黄
場の空気が危険になったとき、とかじゃないですか?
桃
あぁ……まぁ妥当な答えだな
黄
一発殴ってもいいですか先輩
桃
ごめんって、許せ
こうして半分茶番になりつつある俺たちの会話が進んでいる最中にも、ジェルとなーくんは真剣にころんの親と向かっている


ジェルが左胸ポケットから何かを取り出す仕草をする




ブロンズランクのバッジか……
多分、ころんの親に自己紹介でもしているのだろう
黄
……なんです?あれ
桃
あれ…?
桃
あれってなんだよ
黄
香橙さんが持っている茶色の……いや、銅?
桃
……あ、
そうか、こいつはまだ仲間になってから日が浅い
ライリーのことだってほとんど知らないだろうし、ランク制度やかんざしのこととなると以ての外だ
桃
えっと……あれは
桃
バッジだ、自分のランクを示すバッジ
黄
……ランク?
桃
……
……めんどくせぇ
桃
正道会の信者にはランクが付けられてんだよ
桃
上からレジェンド、ゴールド、シルバー、ブロンズになる
桃
ちなみに、莉犬はレジェンドで、ころんはゴールドな
桃
で、そのランクの決まり方は、信者となった瞬間の年齢で決まる
黄
……遅ければ遅いほど、ランクは下になるんですか
桃
あぁ…
さすが黄瀬、とでも言ってやろうか


飲み込みが早くて、こちらからしたらだいぶ助かる
黄
でも、それじゃ意味ないんじゃ…?
黄
バッジの色を見るに、香橙さんはブロンズランクですよね?
桃
そのブロンズランクの中にも身分制度があるんだよ
桃
その制度の決め方も、信者になった年齢だ
桃
で、ジェルは一番上の上段、ころんの親はブロンズランクなうえに一番下の階級なし
桃
ジェルの方が圧倒的有利になるんだよ
黄
なるほど…
そう言って顎に手を当てる黄瀬
多分、今俺から聞いた情報を自分なりにまとめているのだろう
桃
さて、ころんの親はどう出るかな……
きっと、ジェルの自己紹介が終わったのだろう
ころんの親はオドオドして、ジェルに何でも従うかのような態度をとっている





……それを見てなーくんはドン引きしているが。
黄
すごいですね、ランク制度って……
黄
あんなに怖気づくもんなんですか?
自分より年下の男の子なのに
桃
……想定内の反応だな
黄
え…?
桃
正道会の信者って、自分よりランクが上の人が目の前にいると知ると、急に気弱になるんだ
桃
実際、莉犬ところんが対面した時も、ころんはあんな感じになったらしい

まぁ、今言ったことは全部ジェル情報だけどな
黄
青峰さんが莉犬と会ってあんな感じに…?
黄
……想像できるようなできないような
桃
まぁ、今のころんはちょっと変わりつつあるからな
桃
昔は「無関心辛辣メガネ野郎」だったよ
黄
……今は?
桃
「クール系ノリ良し美少年」だな
黄
……昔は美少年じゃなかったということですね
桃
……え、待って、違う違う
黄
へー、ふーん……
桃
なんかすっごい弱み握られた気分……
青side
青
あの、ほんとにいいんですか…?
青
こんなスパイみたいなことして…
赤
バレなきゃ問題なーし
僕たちは今、ジェルさんとなーくんを観察するさとみさんと黄瀬さんを観察している。(?)
本当は、僕は適当に家から抜け出して、莉犬さんは家で待機という予定だった


でも、僕がその予定の通りに家を出たら、莉犬さんが出待ちしてて、「スパイごっこしよ」という謎発言から今に至る

正直ジェルさんたちに任せっきりにするのも気にはかけたが、それで僕が変に作戦に関与して良からぬことが起きたらいけないだろうと思い静かにしようと思っていたのに。

これじゃ、元の子もないじゃないか
青
っていうか、なんでそもそも莉犬さんはここに来たんですか!?
赤
「莉犬さん」じゃなくて、「莉犬」ね
赤
敬語禁止令〜!
青
……ムッ
さとみさんと黄瀬さんをじっと観察しているのと同時進行で、莉犬さ……莉犬くんから敬語禁止令を命じられた
一言で言えばすごく「不便」、二言で言ったら「気持ち悪いからやめてほしい」
青
……せめて莉犬"くん"でお願いします
赤
……しょうがない許してやろう
赤
それと、「お願いします」も敬語だからね
青
はぁ……
あだ名で呼んでいた友達を急に名字呼びするような気分だ。
青
で、莉犬くんは何で来たんですk……来たの?
赤
……ww
僕のタメ口に慣れていない口ぶりに思わず笑みがこぼれている莉犬くん
なんかすっごく腹が立ってきた
赤
いや〜、俺、今家にいるの気まずいじゃん?
赤
だから、その暇つぶしも含めて四人の様子を見に行こうかな〜、って
青
あー……
親が人殺しライリーの信者だからだろうか

いや、誰だって同じ屋根の下に人殺しがいたらいい気分はしないだろう




桃
〜〜…
黄
〜〜〜…?
桃
〜〜!
赤
……なんかめっちゃ喋ってるね
青
……多分、ジェルさんが取り出したバッジの説明でもしてるんじゃないかな…?
赤
あー、なるほど
赤
言われてみれば、るぅとくんにランクの説明してなかったわ
そういって、あはは…と頭をかく莉犬くん
さとみさんに正道会の知識をある程度身に着けさせておいてよかったな、と思う反面、黄瀬さんに説明できるほど詳しくなってしまったのか、と少し怖くもある
いつか興味を持ってしまわないだろうか、と。










いや、そんな心配することはないか
だって、
そう言ってくれたのだから
紫side
青__親
それで、香橙さん……
青__親
私に何か…?
先ほどから、ジェルくんの顔を伺うように話をするころんの親


年上が年下に敬語、社会に出たら仕事などで稀に見る光景ではあるだろうが、あまり慣れない。
橙
……なぁ
紫
ッッ!びっくりした…なに?
橙
……どんな感じに話し切り出したらかっこええ?
紫
……は?
ころちゃんの親には聞こえないように話しかけてきたジェルくん
何かと思えば、「かっこいい話の切り出し方」を身に着けたいらしい
橙
なーくん頭いいからこういうの得意やろ?
紫
……お前は子を愛せていない
紫
子供から無条件に愛されると思うな、とか?
橙
オッケそれで行くわ
紫
え、ちょ、待っ…!
橙
なぁ、青峰さん
俺の制止を遮ってころちゃんの親に話し出すジェルくん
待って、半分ノリで言ったセリフだったのに……!!
青__親
はい…?
橙
……あんた、子供のこと愛せてないで
紫
あぁ……
言ってしまった……
青__親
……え?
橙
子供から無条件に愛されると思うな
橙
お前がやってることはただの強制や
青__親
ッなにを…!!
そういってジェルくんに掴みかかろうとするころちゃんの親
ただ、そのジェルくんの手には今もブロンズランクのバッジが握られている
青__親
っあ……
ジェルくんより階級がしたのころちゃんの親は、それに気がついたようだ。
青__親
ッ……
橙
……直球に言う
橙
ころんはもう、ライリーを信仰していない
青__親
はッ…そんなはず!!
ころちゃんの親は急に顔を真っ赤に変え、ジェルくんに反抗した
橙
じゃなんで俺らはここにおるんや
橙
別に、嘘をついたとしても俺たちに徳があるわけではない
青__親
……あなたたちに何がわかるっていうんですか
青__親
私達はただ、自分の子供を愛そうと…!









青
……母さん
紫
っえ…?
橙
ころん……?
青__親
ッころん…!!!
青
……
突如現れたころちゃんは、じっと、自分の親を見つめた
いや、" 睨んだ"といったほうが正しいだろうか
青__親
ころんッ、この人たちが言うことは本当なの?
青__親
貴方は、ライリー様に歯向かったりはしないわよね?
青
ごめん、母さん
青
もう、耐えきれない
青__親
ッえ?
青
……僕は、ライリーなんか信じらんない
青
だから、母さんのことも父さんのことも
青
……正直、よく思ってない
青__親
……私は、そんな子供を産んだ記憶はないわ
青
うん、だから……
『縁を切ろう、母さん』
青__親
あんたッ…!!!
そう言って殴りかかろうとするころちゃんの親



でも……
桃
おい、そこまでにしとけ
黄
いつでも、呼べるんですよ
物陰からでてきたさとちゃんと黄瀬さん
その黄瀬さんの手に持つスマホには、110 と書かれている
青__親
なんで……そんな…!!
赤
……青峰さん
青__親
……何、あなた
赤
正道会所属、レジェンドランクの
赤
lara兼singisシンギスの、赤月莉犬です
※singis…「歌うライリー」の信者
莉犬くんの名前を聞くと、ころちゃんの親は驚いたように目を見開いて莉犬くんを見た
青__親
あなたが、レジェンドランクの……
赤
……自分はライリーを信仰できない
赤
だからせめて、ライリーを信仰している親とは縁を切る
赤
これは、ころちゃんなりの最後の親切
赤
親孝行なんですよ
赤
分かってやってください
青__親
そんな……どうしてッ(泣)
そういってころちゃんの親は涙を浮かべた







こうして、長い長い作戦は幕を閉じた
はっぴーにゅーいやー
長くなってしまってすんません、スクロールお疲れ様です

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