第11話

シルクの家
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2019/09/25 07:23
~モトキside~
シルクからLINEがきた。
送ってきたのはお兄さんらしく、
しかも内容は『シルクが記憶障害になった』という。
どういうことだろう?と思いながら
急いでシルクの家へ行く。
このまま仲直りできるのかな。
仲直りしてまたみんなで動画撮れるかな。
シルクの家につきインターホンを鳴らす。
ガチャ
兄「よう、入れよ」
出てきたのはシルクのお兄さん。
モ「お邪魔します。」
中へ行くと既にみんな集まっていて
全然が真剣な顔をしていた。
しかし、シルクの姿は見当たらない。
モ「…シルクは?」
兄「やっぱまだ混乱してる。会いたくないらしいから、部屋に行かせてある。」
きっと、当たり前の判断なのだろう。
俺はみんながいる方に座った。
兄「全員揃ったから説明するな。さっき俺はチビと公園で会ったんだ。それで、お前らと一緒じゃないのか聞いたら誰一人分からないと言った。唯一、マサイだけは会ったから分かったけど今までのことはさっぱりらしい。何があったかは俺は一切知らねえけど、軽い記憶喪失だと思う。街のこと、家族のこと、お前らとYouTube以外のことは覚えてるみたいだから。」
5分もしないで終わる説明なのに、胸は苦しくなっていく一方。
俺たちが原因でこんなことになるなんて
誰が予想していた?
ン「…俺のせいです。」
静寂の中、ンダホが口を開いた。
ン「俺が、ちゃんと謝っていれば…こんなことになんなかったんだ。俺、寝ぼけててそれが何かちゃんと分かってなかったし、いつものテンションでいっちゃったから…俺が全部悪いんだ。ほんとにごめんなさい!!!!!」
ザ「お、俺も…シルクに、メンバーに迷惑かけてた。自分の好きなこと優先して、シルクは応援してくれてた。それに甘えて、ちゃんと両立できてなくて…」
ダ「ザカオは悪くねーよ。それを言うなら俺だってそうだし。仕事忙しすぎて全然来れてない。一応メンバーなのに。だから他の奴らに負担かけちまってるし」
ぺ「俺も歌優先しちゃう時あったよ。それで撮影断ったこともある。あの時ちゃんと言ってれば…」
各々が、自分を責め始める。
違うじゃん。
そうじゃないよ。
モ「誰が悪いとかじゃないよ。」
俺のその一言で全員が静まり返る。
そして、俺の方を見た。
モ「確かにンダホが壊したことの事実は変わらない。でもさ、俺とマサイだって止めに入ったのに結局殴りあって事を悪化させたじゃん。それに、シルクに負担をかけすぎたのも事実だと俺は思う。みんなシルクを頼りすぎてたんだよ。」
あの金の盾とコメントのアイコンは
シルクがいつも大切に扱っていたのを
俺たちは見ていた。
それなのに、あんな態度を取ってしまって
結局、シルクを悲しませてしまった。
壊したこと自体はンダホのせいでもあるが
シルクのストレスを貯め続けてきたのは
誰か一人じゃなくて、みんなだ。
これはみんなの責任。俺達が治してやらないと。
モ「お兄さん。シルクを呼んできてもらってもいいですか?」
お兄さんは立ち上がり、シルクの部屋へ行った。
マ「モトキ…どうするんだ?」
正直、何も策はない。
でも…
モ「謝ろう。とにかく。相手が覚えてなかろうが、俺たちは悪いことをしたんだ。だから謝る。そして、許してくれたら改めて記憶を戻す策を考えよう。そして、戻ったらもう一度ちゃんと謝ろうよ。」
シルク…あなたは
顔も名前も覚えていない相手を
許してくれますか?

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