第114話

🌧
2,936
2020/03/11 16:16
あなた

はぁ…はぁ…!

もう日輪刀を持つ力さえ

あまり残されていない

体力も限界だ
はは…攻撃を受けたのはいつぶりかな
何を根拠にして笑うのか

全く理解出来ない

明らかに鬼の方が不利な状況なのに
あなた

炭治郎…義勇さん…

良かった…2人共生きている

後は原初の鬼の頸を…
全く…おかしくて仕方ないよ
あなた

…何がだ

こいつの言葉には怒りが込み上げてくる

耳をかすな 話を聞くな

早く斬ってしまえ
君たちは何も分かっちゃいない
なぜ私が“原初の鬼”と呼ばれているか
知らないようだね
あなた

知ってどうなる

私はね記憶も操作出来るのさ
私が死んだとしてみよう
どうなるか分かるかい?
炭治郎
炭治郎
ま…まさか!
そんな事が…
あなた

炭治郎…?

どうしてそんなに慌てるの?

原初の鬼さえ倒せば

平和な世の中になるんだよ
私は“原初の鬼”
その鬼が居なくなる
そうすると鬼殺隊もなくなるのさ
つまり最初から鬼殺隊は
存在しなかった事になる
あなた

何を…!

それは本当の事?

だとしたら今までの事も忘れちゃうの?

炭治郎とも義勇さんとも他の皆とも

出会ってないことに?

私から皆が消えるってこと…?

全部消えてしまう…?
炭治郎
炭治郎
あなた…?
はっはっは!
その顔だよ、絶望に満ちた顔
それが堪らなく好きなんだ
あなた

嫌だ…いなくなるなんて

炭治郎
炭治郎
あなた!しっかりするんだ!
遠くから炭治郎が何か言ってる

だけど聞こえない

皆との思い出がなくなるなら私は_
絶望に満ちた人間ほど弱いものはない
君は愚かだ
自分の欲情の為に全て失うんだ
炭治郎
炭治郎
あなた!
義勇
義勇
あなた…!
どうしよう…

頭が真っ白だ

体が動かない…このままじゃ…
炭治郎
炭治郎
あなた!
俺の言葉を覚えているなら
原初の鬼の斬れ!
炭治郎の言葉…?
あなた

あ…

そうだ…

炭治郎は確かに言った

『来世では他の皆やあなたに会って幸せに生きたい』

何だ…そうだよ

未来への約束はとうに出来ていた

もう失うものなんて何もなかったんだ
血鬼術…!
母さん…皆…

炭治郎、義勇さん

今、鬼殺隊として最後の任務を全うする

最後の力を振り絞るんだ
あなた

雨の呼吸 拾ノ型
鬼雨

4年の時を経て

“原初の鬼”…お前に刃を振るう
…参ったよ
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