若葉はそう言って微笑んだ。
その瞬間、若葉の体がゆっくりと倒れていく。
私はとっさに若葉と地面の間に滑り込む。若葉は私の膝の上に倒れた。
若葉は途切れ途切れにそう呟いて意識を失う。出血が酷い。無理もない、さっきまで命懸けで戦っていたのだから。
私は若葉を抱きしめながら周りを見渡す。しかし、止血できそうなものは無い。
少し体をねじると身体に激痛が走った。おそらくヴァイルに斬られた傷のせいだろう。無理に動くと私の命も危ない。
私はそう言いながら天井を見上げた。
本当に信じられない。私が何年も何年も必死に追いかけてきた敵が今段々と崩れ去っている。「四面楚歌」を追い続けている間、色々な別れや出会いがあった。「百花繚乱」のみんなと出会えたこともその1つだ。
そっと、若葉の頭を撫でる。
だんだんと視界がボヤける。私も意識を保てているのが不思議なぐらい出血しているので意識を失いかけているのは当たり前ではある。でも、心配はいらない。
だって──
「百花繚乱」のみんなが来たんだから。
戦闘が終わり、静まり返った「四面楚歌」の拠点。月光がスポットライトのようにある男を照らす。
ヴァイルはそう言ってふらふらと立ち上がる。
ふと自分ではない人影を見つけた。
彼女はそう言ってヴァイルの目の前に姿を現す。
暗澹はそう言って娘を思い出すかのように優しく微笑んだ。
暗澹はこれでもかというほどに輝く月を見ながらそう言う。
ヴァイルは目を細めて暗澹にそう問いかける。
暗澹はそのままヴァイルの右手に手錠をかけ、自分の片腕にも手錠をかけた。
ヴァイルは焦ったように手錠を手からぬこうとするが自分の腕を傷つけるだけで抜けることは無い。
ヴァイルが目を大きく見開いて暗澹に尋ねる。
暗澹はそう言って笑う。
この先、娘が「四面楚歌」のことを思い出さず過ごせるように──と。
暗澹には一切の迷いがない。
暗澹はそう言い放つと上着を脱いだ。体には沢山の爆薬が巻きついてある。
暗澹は満足そうに笑った。
ヴァイルは怯えながら下へとつづく階段へと這いずっていく。しかし、暗澹と手錠で繋がっている状態なので階段まであと一歩という所で動けなくなる。
暗澹はそう言って猛毒のような殺気でヴァイルを睨む。
ヴァイルが生きてきて今までに感じたことの無い殺意。ヴァイルは思わず後ずさりした。暗澹はそんなヴァイルに目を向けず月夜を見る。
暗澹は幸せそうに目を細めて微笑む。
暗澹はそう言いながら恐怖でうずくまるヴァイルを見る。
暗澹はそう呟いて俯く。
暗澹はスイッチを取り出した。
暗澹は満面の笑みを浮かべてスイッチを押した。
ありがとう、そしてごめんなさい。
ずっと愛しているわ、若葉───
投稿が遅れてしまって申し訳ございません。
そしてこの度この小説は1周年を迎えました㊗️
本当にありがとうございます。皆様のおかげでここまで続けることができました。
これからも頑張りますのでいいねとコメントよろしくお願いします。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。