あかりを乗せたタクシーが見えなくなった後、しょう、こう、すずの3人は狂ったようにあかりのスマホへの電話をかけ続けた。しかし、聞こえてくるのは「おかけになった番号は現在使われておりません」という無機質なガイダンスだけ。
長男のしょうが、玄関先で力なく崩れ落ちた。
かつて自分たちがあかりに突きつけた「拒絶」が、今度は「不在」という形で何倍にもなって跳ね返ってくる。
次男のこうが震える声で提案した。
3人は転がるようにして地元の警察署へ駆け込んだ。
窓口で「妹が行方不明になった」と告げるしょうの手は、書類も書けないほど震えていた。
警察官の問いに、すずが泣きながら答える。
警察官の目が一瞬で険しいものに変わった。
警察署の冷たい空気の中で、3人は突きつけられる。
行方不明届は受理されたものの、「事件性がない限り、本人が拒否すれば居場所は教えることができない」という現実。
数日後、警察からの連絡が入った。
「…残念ながら、発見時にはすでに…」
警察官の言葉が響く中、3人は目の前の出来事から目を背けたい気持ちでいっぱいだった。
後に手渡されたあかりの持ち物の中に、一通の手紙を見つけた。
「お兄ちゃんたちへ。
さようなら。」
短いメッセージには、計り知れない悲しみが込められていた。
しょうは、抑えきれない感情を爆発させた。
こうは、ただ立ち尽くし、声にならない「ごめん」を繰り返した。
すずは、膝から崩れ落ち、妹の言葉の重さに押し潰された。
3人の心には、深い後悔と悲しみが刻まれた。あかりのいない家には、もう以前のような明るさは戻ってこないだろう。3人はこれから、自分たちの行動が招いた結果と向き合い、消えない後悔を抱えていくことになるのだった。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。