#イルミネーション #メロすぎ注意
鏡の前で何度も角度を変えて確認したメイク。ふわりと巻いた髪。
「寒いかな」と迷ったけれど、彼に一番可愛い自分を見てほしくて選んだお気に入りのスカート。
駅前の喧騒の中、かじかんだ指先をポケットに押し込んで彼を待つ5分間は、心臓の鼓動だけで体が温まるような気がした。
「お待たせ、あなた。……寒かったな、ごめん」
「ううん、今来たとこ。」
時間ぴったりに現れたマナくんは、私の姿を見た瞬間、ほんの一瞬だけ言葉を失ったように目を見開いた。
「……今日、めちゃくちゃ可愛いやん。…反則級やわ、」
照れくさそうに笑いながら、彼は私の手を自分のコートのポケットへと引き入れた。
彼がエスコートしてくれる、行き先を知らされていない秘密のデート。電車に揺られながら、目的地への期待で胸がいっぱいになる。
到着した場所で、入場ゲートをくぐり抜けた瞬間。
「わぁ……っ」
思わず声が漏れた。視界を埋め尽くす無数の青と白の輝き。まるで星空が地上に降りてきたような光の海が、私たちを包み込む。
「すごいやろ? ここ、あなたに見せたかってん」
「すごい、マナくん見て、あっちも!」
「……ほんまやな。迷子になんなよ?」
無数のイルミネーションが、私たちの足元を照らすように輝いている。
スマホを向ければ、光を背景にした彼はいつも以上に大人っぽく、かっこよく見えて、シャッターを切る手が止まらない。
順路の最後、広場の中心にそびえ立つ一番大きなツリー。
七色に変化する光を見上げていた私は、ふと視線を感じて横を向いた。
そこには、ツリーよりもずっと優しい光を瞳に宿して、私の横顔をじっと見つめるマナくんがいた。
目が合った瞬間、どちらからともなく「ふふっ」と笑みがこぼれる。言葉なんていらない、幸せの共有。
「あなたがあんまり綺麗に笑うから、見惚れてもうたわ」
その時、私の鼻先に「つん」と冷たい感覚が走った。
「……あ、雪?」
「ほんまや。……初雪やな」
一つ、また一つ。
夜空から舞い落ちてくる白い結晶が、イルミネーションの光を反射して、まるでダイヤモンドの粉のようにキラキラと宙を舞う。
寒いはずなのに、繋いだ手から伝わるマナくんの体温が心地よくて、このまま世界が止まればいいのにと本気で思った。
「あなた。……大好きや。来年も、その次も。ずっと俺の隣でこうして笑っててや」
「私も……私も、マナくんが大好き」
雪と光の魔法にかかった夜。
真っ白に染まり始めた世界の中で、私たちはいつまでも、離れないように強く寄り添い合っていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。