多分、間違ってはなかった。
きっと、俺がしたこの選択は。
ただ、少し後ろから彼女を見守るという選択は。
確か、好きだって、初めに思ったのはみんなで昼ごはんを食べてたときだったかな。
特に今までと変わりない昼休みだった。
ただ、彼女が俺の隣にいる、それだけだった。
初めて、2人きりで話したとき、真剣に自分の話を聞いてくれる姿や、俺の話で笑ってくれる姿、口いっぱいに頬張ってご飯を食べている姿が可愛かった。
俺が、それを恋だと自覚したのは、それから少ししたころ。
高鳴る胸を押さえて、みんなが待つ場所へ行ったとき。
真っ先に目に入ったのは、俺の友達であるせらおに自身の弁当の具をあげているあなた。
せらおは、彼女とは幼馴染なようで、ずっと、彼女の隣にいた。
勝てっこねえな、そう思ったのは、彼女に恋をして数日しかたたない頃。
辛かった、苦しかった、羨ましかった。
でも、彼女が俺を選ぶことはないって、自分でわかってしまったから。
せらおは、あなたのことが好きだ。
多分ずっと、俺が彼女に出会う前から。
俺の親友の奏斗も、多分彼女に恋をしている。
敵が多すぎた、強すぎたんだ。
そうやって自分に言い聞かせて、彼女を諦める理由を見つけていく。
心を彼女に打ち明けた日。
彼女の心を知った日。
たった二言、メッセージが届いた。
彼女の相談に乗ると言ってしまったがゆえに、肯定的な返事をしなければいけない。
ただ、心はそうも簡単には動いてくれない。
本当はこんなことを言いたいわけじゃない。
あいつが羨ましくて、心が裂けそうだ。
でも、俺が言ったことだから。
彼女はそれを望んでいるのだから。
彼女には伝わらなくていい。
ただ、自分の中でだけ、この気持ちを大切に生きていけたら、それでいい。
いくら、そう思っても。
それでも、人間が当たり前に有する自己愛が俺の選択が間違っていたのではないかと告げる。
自分の気持ちが認められない、優遇されないことが、こんなにも悲しかっただなんて。
あなた、ほんとに、本当に俺は好きなだけなんだよ。
だからこれ以上…俺を苦しめないでよ………。
自分がした選択は、果たしてこれであっていたのか。
彼女を幸せにすることさえできない俺に、そんなこと問う価値もないかもしれない。
それでも、ただ、考え続ける。
甘い夕暮れの夢とともに。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。