第29話

体育祭でも甘い 2
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2025/05/18 07:47 更新



わかってはいたけど、


knt
……つら


すでにカップルにしか見えないような2人を直接見るのは、心に来るものがある。



knt
(ああ、そうだ。"俺"、まだあなたのこと諦められてないんだもんな…)





借り人は、あまりで決まったもの。


別にやりたかったわけでもないし、やりたくないわけでもない。



どうせなら、「幼馴染」とかがいいな。


そんなお題、あるかわからないけど。


けど、彼が他の女の子に連れて行かれたりしたら嫌だから…。



彼は、"私の"幼馴染なんだから。




あなた
(なんて、私も傲慢だなぁ…)



あわよくば、今ここで私を攫っていって欲しいなんて、少女漫画のようなことを考えてしまう。



それとも、これが恋する乙女のさがというものなのか。






俺が障害物競争をゴールしたとき、幼馴染の方を見れば、奏斗の隣に座っていた。



srp
(あー…)



何も、思わなかった。



いや、それは嘘かもしれない。




ただ、激しい怒りや嫉妬はなかった。


もちろん、俺だって彼女の側にいたい。



けど、あの日、奏斗が言っていた言葉が、そういう意味・・・・・・だったら…。



knt
『"俺"だって!陽夏のことが好きだよ、陽夏にあんな顔させてるお前が許せない!』


奏斗が、彼女に恋をしているというならば、俺はきっと、それを応援するだろう。



優しくて、面白くて、常識も礼節もしっかりしている奏斗。

次期生徒会長候補だとも言われている。


そんな彼になら、彼女を預けられると思ったから。





でも、やっぱりまだ子供な俺は彼女の横という立ち位置を手放せなかった。

knt
あーあなた僕のこと連れってたりしてくんないかな〜


隣にいる奏斗が、借り人で招集された俺の幼馴染を見て言う。


srp
奏斗が連れて行かれるようなお題って何?
knt
そりゃもう…!
knt
かっこいい人とか、ね?
srp
せいぜい学級委員とかだろうな
knt
おい!!


奏斗には冗談と捉えられるかも知れないが、俺は彼女が他人にかっこいいと言っている姿を見たことがないからこそ、こう言っている。


たとえテレビに映る超人気俳優でも、アイドルでも。




そうこう言っているうちに、彼女の番が来た。


knt
えっ、あなたが向かってんの一組じゃね?


奏斗に言われてテントの位置を確認すると、確かに2年1組の場所だ。


srp
雲雀?


彼女が1組で仲がいいのは雲雀だけだったと思う。


だったら、お題は雲雀に該当するようなもの?


それとも、1組というお題?

knt
まじだ!


案の定、彼女は雲雀の手を引いてゴールへ向かう。


knt
お題めっちゃ気になる
srp
ね。フロアも大盛り上がりだし
knt
あは、雲雀も人気だからな〜


雲雀が連れて行かれた様子を見て、1組の女子たちが声を上がる。



その中には、俺の幼馴染を羨ましいと言う人や、妬む人、2人を恋仲だと勝手に推測する人など様々だ。



しかし、そのどれもが俺は気に食わなかった。




雲雀と共にゴールをした後、別れて俺たちの元に彼女が戻ってきた。



knt
おつかれ〜
srp
おかえり
あなた
ただいま〜
knt
雲雀は何のお題だったの?


すかさず、奏斗が気になっていたことを聞く。


あなた
あー、あれね…。



歯切れの悪い彼女の返事に、心臓がどくどくと音を立てる。


srp
(好きな人、とかだったら…?)
knt
えーなになに教えてよ
あなた
別に、深い意味はないんだよ!?
その…かっこいい人……
srp
え…


その瞬間、なにかが割れる音がした。


心か、頭か、わからないけれど。




所謂、絶望ってやつだろうか。



今まで、彼女から人に対するそう言った言葉を聞いたことがなかったからこそ、辛い。


本当は、ずっと雲雀のことかっこいいって思ってたのかな。

本当は、先輩やクラスの奴らのこともそう思ってたりしたのかな。

そんなどうしようもない考えに脳が支配される。







雲雀の凄さはわかってる。








わかってるからこそ、悔しかった。











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