クラスに入るなり、星川が声をかけてくれる。
みんなにも聞こえる大きい声で言われるのは恥ずかしいけど、お揃いだと他人に言ってもらえるのは、正直嬉しかった。
彼に恋していることを、星川には、まだ言えていない。
体育祭が終わったら、言いたいな。
今までずっと、気にかけてくれていたから。
私の幼馴染は、勉強ができて、優しくて、女心もわかってくれるし、クラシック音楽を得意とするような繊細な部分もある。
そして、何より忘れてはいけないのが、彼の並外れた運動能力である。
障害物競争に出ている幼馴染は、現在、トップを独走している。
この障害物競争は、ハードルや平均台、跳び箱やロープくぐりなど、結構本格的な障害物競争である。
彼は、そのどれもを華麗にこなしていき、みんなからの注目を集めている。
それは、早すぎて実況が追いつかないレベルだった。
放送委員の実況とともに、彼がこちらを向いて笑顔で手を振る。
すると、私たちの側にいた女の子たちから、黄色い声があがる。
奏斗がその様子を見て笑う。
どうやら、こういった光景になることは少なくはないそう。
女の子にキャーキャー言われているのは、見慣れているけれど、少し心がモヤモヤした。
奏斗と話していると、競技を終えた幼馴染がやってくる。
そう言って、私と奏斗の間に座り込む。
幼馴染が来てまもなく、私が招集された。
立ち上がって2人に声をかけた。
呼び止められたと思うと、彼も立ち上がって、私の頭を撫でた。
しっかりと目を見つめてそう言われる。
途端に、体が熱くなる。
___これはきっと、終わらない夏のせい。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。