いきなりそんな声が聞こえて、ふと目覚めると、俺は見知らぬ場所にいた。
いつの間にか、俺は食堂にあるような長机の誕生席に座らされており、丁度その反対の席では一人の少女がへらりと笑っている。
その、上等なドレスを着た紺碧の髪の少女は、俺が困惑したような声を出しても、笑みを少し崩して眉を寄せるだけで、こちらが疑問に思っていることを分かっていないようだ。こうして見つめあっていて、何か起こる訳でもない。そこで俺は、一番疑問に思っていたことを口にする。
そんな俺の問いかけで、少女は漸く気付いたように、ああ、と小さく声を上げる。
…俺の中?ホロゥ?
ホロゥについては、だいぶ前のこっくりさん事件で知っている。地球で『幽霊』と呼ばれているたぐいのものだ。百歩譲って、それは分かるとしよう。だが、
俺の中とは、どういうことなのだろうか。錯覚か何かなのかは分からないが、全身が毛羽立ってぞわぞわとする。思わず浮かぶ鳥肌に、俺は腕を抱いた。
取り憑いている、という言葉に、俺は慌てて後ろを振り返る。しかし当然に、そこには誰もいない。安堵のため息をし、再び少女に向き直ると、少女はくすくすと声をたてて笑う。
__そうだった。
少女のこちらのペースを崩してくる話し方は、なんだか大罪司教に似ていて、酷く疲れる。
今までで1番の笑顔で、少女は残酷な提案を告げる。
面倒くさい奴だなとは思っていたが、消えてほしいなんて思ってはいない。拒否という意味を込めて、首を横に振るが、少女は不思議そうに首を傾げる。
少女は悩みに悩んで唸った後、決心したように席から立ち上がり、スバルの元へ歩みを進める。
そして、少女は__
妖艶な笑みを浮かべてそう言って、スバルに『暴食』の名を告ぐのだった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。