地下室の奥。
最後の部屋に飾られた一枚の写真。
ねこばは、その写真から目を離せなかった。
そこに写っていたのは――
幼いねこば。
ねこみ。
父。
そして……
もう一人。
誰も言葉を発せなかった。
写真の中には、亡くなったはずの母親がいた。
その瞬間、部屋のスピーカーから声が響く。
画面に映像が流れる。
そこには、若い母親の姿。
母:「この子だけは、絶対に実験に使わせない。」
母親は、小さなねこばを抱きしめていた。
母:「もし私がいなくなっても……。」
母:「この子を守って。」
映像が切り替わる。
白峰。
神代。
望月の父。
そして、もう一人。
黒い服の人物。
その人物が、すべての指示を出していた。
長い沈黙。
そして。
スピーカーから答えが返る。
部屋の奥の扉が開く。
そこに立っていたのは、一人の女性。
少し歳を重ねた姿。
でも、間違いない。
母:「ねこば。」
ねこばは動けなかった。
嬉しい。
でも、同時に苦しかった。
母:「ごめんなさい。」
母:「あなたを守るために、姿を消すしかなかった。」
母:「そう。」
母:「あなたを守るための試練だった。」
母は目を伏せる。
母:「その通り。」
母:「私のやり方は間違っていた。」
母はうなずく。
母:「犯人オークションは今日で終わり。」
悠真は静かに壁にもたれていた。
悠真は少し驚く。
悠真は初めて、小さく笑った。
数日後。
犯人オークションの存在は公表された。
十五年前の事件。
実験の真実。
隠されていた記録。
すべてが明らかになった。
白峰たちは裁かれ、研究所は閉鎖された。
望月は、ねこばの隣に立っていた。
ねこばは笑う。
望月は静かにうなずいた。
ねこばは空を見上げる。
長い間閉じ込められていた過去。
失った記憶。
裏切り。
悲しみ。
それでも――
最後に残ったのは、人を信じる気持ちだった。
こうして。
十五年前から続いた「犯人オークション」は幕を閉じた。
しかし最後に、ねこばの机の上へ一枚の紙が置かれていた。
そこには、見知らぬ文字。
『次のオークションを始めよう。』
終わったはずの事件。
しかし、新たな謎はまだ消えていなかった。
―Bルート「裏切りエンド」 完―












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。