あなたの涙が頬を伝って、地面に落ちる。
その音が、心の中で響いていた。
「あなた…」
俺は声を震わせながら、彼女の前に立つ。
彼女は俺から目を逸らし、震える肩を隠すように、頭を下げていた。
その姿を見て、俺の心が締めつけられる。
どうしても、この選択を美玖に押し付けるわけにはいかない。
だけど、俺には一つだけ、譲れない理由があった。
「あなた、お願い。」
俺は、彼女の目を見つめるようにして、ゆっくりと声をかけた。
「俺が行く。俺が犠牲になって、君が生き残る道を作る。それが最善なんやって。」
あなたはその言葉を、何も言わずに聞いていた。
だが、彼女の目は恐れに満ちている。
俺がどうしても言わなければならない理由を、伝える時が来た。
「でも、なんで? どうして、私を置いてぷりだけが死ぬの…」
あなたは声を震わせ、再び顔を上げる。
「私だって、死にたくないよ! でも一緒にいたい、一緒に生きていたい!」
その言葉が、痛いほど胸に突き刺さる。
だけど、俺はその痛みを押し込めて、もう一度言うしかなかった。
「あなた…俺は、あなたを守り抜くって決めたんや。」
その言葉を出すと、涙が少し溢れそうになるが、俺はこらえた。
「俺たちは、星空を一緒に見て、たくさんの未来を夢見た。
でも、今、その未来が終わりを迎えようとしている。だからこそ、俺が君に未来を託さなきゃいけない。」
あなたは再び顔を背ける。
その背中が、俺の心に痛みを刻む。
だが、俺には言わなきゃいけないことがある。
「俺がいなくても、あなたはきっと生き抜ける。
あなたには強さがあるから、必ずどんな困難も乗り越えられる。」
俺はゆっくりと一歩近づき、彼女の震える肩に手を置いた。
「だから、お願いだ。いや、命令。」
俺は大きく息を吸って、思いっきり笑う
「俺の命であなたの未来を守りたい。
あなたが一人でも、ちゃんと前を向いて生きていけるように、俺が最後まで支える。」
あなたは目を閉じ、肩を震わせた。
その姿を見て、俺は思わず彼女を引き寄せた。
顔を見合わせることはできない。
ただ、彼女の温もりを感じたくて、ただ強く抱きしめた。
「ぷり…」
あなたは涙を堪えきれずに、俺の胸に顔を埋めた。
「私…怖いよ。ぷりがいなくなったら、何も意味もないよ、。」
「わかってる。」
俺は彼女の髪を撫でながら、低く囁いた。
「でも、あなたが生きていてくれれば、それが一番大切なんやから。
どんな未来だって、あなたがいる限り、きっと乗り越えられると思う。」
あなたは小さく頷いた。
その顔はまだ涙で濡れていたが、少しだけ落ち着きを取り戻していた。
俺は彼女の目を見て、再び言葉を続けた。
「あなた、俺が死んだ後、もしもあなたが一人になっても、僕のことを思い出してくれればいい。
星を見上げて、あの時の星空を思い出して、あなたらしく生きてほしい。
あなたには未来があるんだ。たとえどんな暗闇でも、光を見つけて、前に進むんだ。」
あなたは再び俺の胸に顔を埋め、声を上げて泣いた。
「でも…でも…ぷりがいなかったら、私、どうしていいか分からない…」
その涙を受け止めるように、俺は強く抱きしめた。
そして、深く息を吸い込む。
「あなた、俺はただ一つだけ伝えたい。」
その言葉を噛みしめるように、最後に言った。
「が生きていてくれる、それだけが俺の一番の願いなんやで。」
あなたはしばらく泣いていたが、やがてその肩の力が少しずつ抜けていった。
涙をぬぐいながら、顔を上げたあなたが、静かに俺を見つめた。
「私は、絶対にぷりを失いたくない。」
あなたの声は、やっと落ち着きを取り戻し、優しさが戻ってきた。
彼女の目に、決意が宿っていた。
「でも…それでも、、。
、、、私はぷりの背中を押すよ、。」
「あなた…」
俺はその言葉を受け入れ、ゆっくりと頷いた。
「ありがとう。あなたが生きていてくれるなら、それだけで俺は満足。」
彼女は静かに頷き、目を閉じた。
二人の間に、言葉にできない何かが流れている。
それは、互いに背負うべき未来を理解し合った証だった。
「じゃあ、一緒に行こう。」
あなたがゆっくりと口を開く。
「一緒に、最後まで。」
その言葉を聞いた瞬間、俺はようやく安心できた。
二人で未来を切り開くために、全てを背負って進んでいく決意が固まった。
俺たちは、最後まで手を取り合って、どんな苦しみも共に乗り越えていくんだ。
「あなた。」
「、、、あとは頼んだよ」











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!