その日、空は異様に静かだった。
いつもなら、星々が煌めく夜空が、今日はまるで黒い幕のように重く感じられた。
空のどこかに、あの彗星が迫っていると思うと、息が詰まりそうだった。
「もう、あれが最後だ。」
ぷりっつが呟いた。
あなたは静かに、でも強く頷いた。
「うん、分かってる。」
世界中の人々が、彗星衝突の瞬間を迎えようとしている。
避難所も閉鎖され、ほとんどの人々が無力感に支配されている中、
俺たちは山の中にいた。
計画通り、最終的な避難地点に向かっていたが、
もうここまで来ると、逃げることすら無意味に思えた。
「あなた、覚えてる?」
俺はあなたの方を見た。
あなたは、俺の目を見つめたまま、無言で頷く。
「うん。最初に、あのプラネタリウムで見た星空のこと?」
「せや。」
俺は少し笑ったが、その笑顔には力がなかった。
涙をこらえたような表情だった。
「あの時、俺たちは一緒に星を見て、未来を語り合った。
あの星空の下で、俺たちはずっと一緒だって約束した。」
「うん…」
あなたも、目を閉じてその時のことを思い出しているようだった。
「私、ずっとあの星空が好きだった。すごくきれいで、。
でも、今はもう、あの星空も見えない。」
俺は静かに、あなたの手を取った。
その温もりが、今はただ頼りに思えた。
「でも、あなた。」
俺はもう一度、彼女の目を見つめた。
「どんなに星が消えても、俺たちは終わらない。俺たちが一緒に過ごした日々は、絶対に無駄じゃない。」
あなたは、俺の言葉に少しだけ力を込めて笑顔を見せた。
だが、その笑顔の中にも、深い悲しみと寂しさがにじんでいた。
「ありがとう、ぷり…」
あなたは小さな声で言った。
「でも、私はまだ…諦めたくない。」
俺はその言葉を聞いて、胸が痛んだ。
あなたが諦めずに最後まで希望を持ち続けてくれることが、どれだけ心強いか。
だけど、現実はもう、逃れられないところまで来てしまっている。
「あなた、もし…もしも、俺たちがここで…」
俺は言葉を飲み込んだ。
彗星が接近する音が、耳の中でどんどん大きくなっていく。
まるで、空が爆発しそうな気がした。
「でも、俺たちはここまで来たんや。最後まで、一緒にいることができてよかった。」
「ぷり…」
あなたは、俺を見つめるその目に、すでに涙が浮かんでいた。
「私も、あなたと一緒にいてよかった。ありがとう。」
その時、突然、空がひどく揺れた。
空の一部がまるで切り裂かれるように、光り輝き、そして、闇の中に消えていった。
彗星が、ついに地球に衝突する瞬間が訪れた。
その瞬間、すべてが止まったように感じた。
周囲が静寂に包まれ、風の音すら消え失せた。
大地が震え、目の前に何か巨大なものが迫る。
それが彗星だということは分かっていた。
だけど、それを直接見ることができないということが、逆に恐怖を倍増させた。
「あなた…」
俺は、震える声で彼女を呼んだ。
あなたは目を閉じ、静かに首を振った。
「ぷり、私は怖くないよ。
ただ、ぷりと一緒にいられることが…それだけが、今は一番大事なんだ。」
その瞬間、彗星が地球に激突し、空が一気に火を吹くような光に包まれた。
地面が揺れ、空が割れるように感じた。
闇がすべてを飲み込み、何もかもが崩れ去っていく。
そして、何もかもが静まり返った。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。