🐥side
まだ あどけなさが残る顔付きで、大人みたいな事を言うテヒョンが やけに色っぽくて、未発達な心と体で、大人の相手をしていたテヒョンの婉麗な雰囲気は、まだ何も知らない俺にさえも感じ取れる程だった。
テヒョンの気持ちに嘘はないと思った。
ただ、会いたい。
それは母親を求める子供のような気持ちなんだと…。
テヒョンは圧倒的に愛情不足なんだ。
だから、誰かに縋ってしまう。
誰かの体温で、自分の冷え切った心と体を温めて。
肌を重ねる事で、愛されてる感覚を感じてたんだ。
だから、蛇女みたいな奴も相手にしてしまう…。
テヒョン… お前はもっと愛されるべき人なのに。
さっきスーパーで買ってきた袋の中から、みかんゼリーを出してテヒョンに渡す。
それからテヒョンは暫く泣き止まず、お陰で熱がどんどん上がり、困り果てた俺は急遽オンマに連絡して、オンマと一緒にテヒョンを病院に連れて行った。
テヒョンが点滴を打っている間に、オンマには軽くテヒョンの今の状況を話した。
もちろん、ユラさんの事は伏せて。
これをきっかけに、テヒョンはよく我が家に出入りするようになった。
オンマはイケメンの息子が増えたって大喜びだし、アッパも愛嬌のあるテヒョンをとても可愛がり、俺の弟も優しいテヒョンによく懐いた。
テヒョンが受けられなかった普通の愛情を、俺の家族がテヒョンに注いでくれた。
テヒョンと再会して1年。
今でもテヒョンは、いろんな女に愛を求める。
俺はそれを黙って見ている。
人が何と言おうと、テヒョンの愛情の器がそれで満たされるなら、俺はそれも1つのやり方だと思ったからだ。
これ以上テヒョンに傷付いてほしくない。
テヒョンのピュアで優しい心を傷付けるものは、俺が排除する。
そう思ってこの1年テヒョンと一緒にいたんだ。
そんな時にテヒョンはジョングクと出会った。
特になんの拘りもなく、いつも流されるように人と交流していたテヒョンが、ジョングクと出会って少しだけ雰囲気が変わった。
テヒョン本人は気付いていないようだったけど
俺にはわかった。
あいつが
ジョングクだけに
「拘り」を見せ始めた事を…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!