第28話

28
2,518
2024/03/28 12:23
🐥side


テヒョン
テヒョン
ジミンはSEXした事ある?
ジミン
ジミン
あ、あるわけないだろっ!
俺、まだ中学生だぜ?
テヒョン
テヒョン
あはは、ごめん…そうだよね…
俺の感覚がおかしいんだよね
ジミン
ジミン
お、おかしいって訳じゃないけど…
テヒョン
テヒョン
あのね… ジミン…女の人ってさ…
すっごく気持ちがいいんだ…
ジミン
ジミン
…うん
テヒョン
テヒョン
ふわふわしてて、しっとりしててね…
すごくいい香りがするの…
ジミン
ジミン
……
テヒョン
テヒョン
男の俺にはない、優しい幸せみたいなのが詰まってるんだ

まだ あどけなさが残る顔付きで、大人みたいな事を言うテヒョンが やけに色っぽくて、未発達な心と体で、大人の相手をしていたテヒョンの婉麗えんれいな雰囲気は、まだ何も知らない俺にさえも感じ取れる程だった。

テヒョン
テヒョン
俺にはユラさんが全てだった…
ユラさんしかいなかったんだ…
テヒョン
テヒョン
だから…ユラさんのいない時間が耐えられなかった… ユラさんから与えられた愛を…体温を…俺は他の人で満たそうとしているんだ…
ジミン
ジミン
好き…だったんだな…ユラさんの事…
テヒョン
テヒョン
うーん…どうだろ… 好きだったのかな… 今となってはよくわからない… 
ジミン
ジミン
……
テヒョン
テヒョン
俺、好きって気持ちがよくわからないからさ…相手を求めてしまう事が好きって事になるの?
ジミン
ジミン
お、俺にもわからないよ…俺だってまともに恋愛なんてした事ないんだから…
テヒョン
テヒョン
ジミンの初恋はいつ?
ジミン
ジミン
初恋?うーん、小学校3年生の時だったかなー?ドラえもんのしずかちゃんみたいな子!クラスのアイドルで、頭が良くて、顔も可愛くてさ!まぁ俺みたいなのは到底相手にもしてくれない高嶺の花だったなw
テヒョン
テヒョン
俺はね、初恋がいつなのかもわからない。ユラさんが初恋なのかって言われたら、それはちょっと違う気もするし… ユラさんは俺にとって大事な人なのは間違いないんだけどね
ジミン
ジミン
会いたい?ユラさんに…
テヒョン
テヒョン
うん、会いたい… 会って、俺は元気だよって伝えたい

テヒョンの気持ちに嘘はないと思った。

ただ、会いたい。

それは母親を求める子供のような気持ちなんだと…。


テヒョンは圧倒的に愛情不足なんだ。

だから、誰かに縋ってしまう。


誰かの体温で、自分の冷え切った心と体を温めて。

肌を重ねる事で、愛されてる感覚を感じてたんだ。


だから、蛇女みたいな奴も相手にしてしまう…。





テヒョン… お前はもっと愛されるべき人なのに。


テヒョン
テヒョン
ごめんね、ジミン…せっかく来てくれたのに、こんなむさ苦しい所で、こんな話し…
ジミン
ジミン
いや、そんな事ないよ… 話してくれて嬉しいよ
テヒョン
テヒョン
うん、初めて話した…今まで誰にも話した事なかったから…
ジミン
ジミン
そっか…
テヒョン
テヒョン
こんな話し…誰にもできないと思ってたから不思議。何故かジミンには抵抗なく話せた… なんでだろうね?
ジミン
ジミン
……俺達は凸凹コンビだったけど、何故かしっくりきたからかな
テヒョン
テヒョン
うん、ジミンは俺にとって特別だった… 
ジミン
ジミン
そうか… ごめんな、俺、もっと早くにお前を見つけてたら…
テヒョン
テヒョン
ううん、今だから話せたのかも…少し時間が経って気持ちが前よりは落ち着いたから…
ジミン
ジミン
そっか… なぁ…俺にできる事あるか?
テヒョン
テヒョン
ふふ…じゃあ、たまにこうして俺の話を聞いて?上辺だけの話しは誰とでもできるけど、ジミンにしかできない話しはジミンに聞いて欲しい…
ジミン
ジミン
わかった!そんなのお安い御用だよ!俺はな、面倒見がいいって評判の男なんだ!これからはお前の面倒は俺がみるぞ!
テヒョン
テヒョン
あはは!ありがとうジミン…
ジミン
ジミン
お前は1人じゃない。俺がいる。
だからもう1人で泣いたりするな!
いいな?それを忘れるな!?
テヒョン
テヒョン
……うん、俺にはジミンがいる。
1人で泣かない。
ジミン
ジミン
よし!じゃあ、今 俺がお前の為にできる事をするぞ!!
テヒョン
テヒョン
え?なに?(笑)
ジミン
ジミン
まずは、この家の掃除をする!こんな汚い所で暮らしてたら体に悪いだろ?俺はな、常日頃からオンマにあれやこれやとやらされてるから、掃除洗濯は朝飯前なんだ!
テヒョン
テヒョン
へぇー!ジミンすごいね!
ジミン
ジミン
だろ?俺は出来る男なんだよ!テヒョンはこれでも食ってそこに横になってて!

さっきスーパーで買ってきた袋の中から、みかんゼリーを出してテヒョンに渡す。
テヒョン
テヒョン
わぁ!俺、みかんゼリー大好きなんだ!食欲なかったけど、これなら食べられそう
ジミン
ジミン
な?お前に聞かなくても、求めている物を買って来れる俺、使えるだろ?
テヒョン
テヒョン
うん!すっごく使えるね!
ジミン
ジミン
元気になったら、掃除や洗濯の仕方も俺が教えてやるよ!
テヒョン
テヒョン
うん!
ジミン
ジミン
残念ながら料理のスキルはまだ習得してないから、メシは俺んちに食いに来い!俺のオンマもお前が来たら喜ぶと思うし!
テヒョン
テヒョン
……
ジミン
ジミン
どした?何か不服だったか?
テヒョン
テヒョン
ううん…ありがと、ジミン…本当にありがとう…俺、すごく嬉しくて…ゔぅ…うぅ、ぐすっ…
ジミン
ジミン
……泣くなよ
テヒョン
テヒョン
ご、ごめん…
でもジミンの前だから…
泣いてもいいよね…?
ジミン
ジミン
うん…今まで我慢した分たくさん泣いていいよ…




それからテヒョンは暫く泣き止まず、お陰で熱がどんどん上がり、困り果てた俺は急遽オンマに連絡して、オンマと一緒にテヒョンを病院に連れて行った。

テヒョンが点滴を打っている間に、オンマには軽くテヒョンの今の状況を話した。

もちろん、ユラさんの事は伏せて。

ジミン オンマ
テヒョン…熱が下がるまでウチに来なさい。熱のある子を1人で置いとくなんて、おばちゃんにはできないわ。あなたが来てくれたら私が面倒見てあげられるしね?そうしなさい。
テヒョン
テヒョン
でも…迷惑かけちゃうし…
ジミン オンマ
何言ってるの!子供は迷惑かけてなんぼなのよ?黙って大人に甘えてたらいいの!おばちゃんもそっちの方が安心だし、いいわね?このままウチに連れて帰るわよ!
テヒョン
テヒョン
ありがとうございます…



これをきっかけに、テヒョンはよく我が家に出入りするようになった。

オンマはイケメンの息子が増えたって大喜びだし、アッパも愛嬌のあるテヒョンをとても可愛がり、俺の弟も優しいテヒョンによく懐いた。

テヒョンが受けられなかった普通の愛情を、俺の家族がテヒョンに注いでくれた。





テヒョンと再会して1年。

今でもテヒョンは、いろんなひとに愛を求める。

俺はそれを黙って見ている。

人が何と言おうと、テヒョンの愛情の器がそれで満たされるなら、俺はそれも1つのやり方だと思ったからだ。



これ以上テヒョンに傷付いてほしくない。

テヒョンのピュアで優しい心を傷付けるものは、俺が排除する。

そう思ってこの1年テヒョンと一緒にいたんだ。




そんな時にテヒョンはジョングクと出会った。

特になんの拘りもなく、いつも流されるように人と交流していたテヒョンが、ジョングクと出会って少しだけ雰囲気が変わった。




テヒョン本人は気付いていないようだったけど


俺にはわかった。






あいつが


ジョングクだけに


「拘り」を見せ始めた事を…。

プリ小説オーディオドラマ