お腹が痛い…
う”っ…
私は大体察した。
陣痛だ。
そう叫んだ、家にいるはずの彼を。
何度呼んでも彼は返事をしない。
とっさに私は一番上にいた電話番号の人に電話をかけた。
その人は直ぐに電話に出た。
そう言ってその人は電話を切った。
数分後、家の扉が開いた。
その問いに私は首を縦に振った。
砂糖に寄り添いながら私は駐車場まで行った。
そう言って砂糖はエンジンを掛けて車を動かした。
うめき声をあげる私を隣に『辛いね、もうちょっとで着くからね、』と宥める砂糖。
今思っても砂糖には感謝しか無い。
数分が経ち砂糖は車から降りた。
それだけ言い残して砂糖は去っていった。
数分後お医者様?であろう人と看護師さんであろう人が現れた。
そこからの記憶はないに等しい。
数十時間が経った頃だろうか。
私は目を開けた。
最愛の人の名前を呼んだ。
あのときとは違ってすぐに返ってきた。
私はとびっきりの笑顔で返した。
二人で笑い合って…
あぁ、こんな幸せがずっと続けばよいのに…
その時の私は気づくことがなかった。
遠くの場所で私と李音を見つめている砂糖の視線に。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。