第32話

僕ができること 32
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2024/04/05 05:00 更新
─大吾side─

「っ…」

くっそっ、、俺が休ませてればっ、こんなことにはっ

1番近くにいたのにっ、、守れなかった。異変に気づくことも出来なかった。倒れてからじゃ、遅いのにっ

「大西さんっ」

起きて、と、手を握ってその時を待つしか無かった。なんでこんなことに…

ビルの建設中で、クレーンで鉄パイプを運んでいる時に、ベルトが緩んでたようで、強風が吹いたことにより落下。広範囲に落ちたことで、従業員、そして歩行者にも被害が及んだ。

俺は幸い、腕の骨折と頬の擦り傷で済んだ。でも大西さんは…

「っ…」

なんで守れなかったんや…
隣にいたんやから、俺が大西さんに覆いかぶさって守ることも出来たやろっ

咄嗟に動けなかったこの体が憎かった。恨んだ。

あの場にいた人たちの中で、大西さんが1番重症やった。運ばれてすぐ、急性硬膜外血腫で緊急手術、緊急入院。

急性硬膜下血腫は、頭を打っても初めは意識がいいことが多い。だからって、、、ピンピンしてる大西さんを見て大丈夫やろうと、、見誤った。

頭から出血してる時点で、あらゆる可能性を考えてれば…もっと強く安静にしてるように言ってれば…

「…っ、、くっそ」

俺がもっとちゃんとしてれば、もっと知識があれば…

「西畑さんやっぱり骨折してたんですね」

「はい」

「あとは?」

「いや他は、、、?っ!?なっ、っ、っ」

「ふふっ、僕死んでないんですけど?笑」

「っ、っ、大西さんっ」

「だから生きてますって笑」

普通に話しかけてくるもんだから、疑いもせず返事をしてしまった。今誰と喋った?って顔を上げたら、目を覚ましてて、言葉が出なかった。何かを言いかけて、口をパクパクさせるだけ。

「大西さんだけですっ」

「?」

「あの事故で命落としかけたのっ」

「あ、そうなんですか?ゆうたくんのお母さん大丈夫やったんや。よかっ」

「良くない!〜〜っ、なんでいつも自分は後回しなんですか?大丈夫じゃないくせに大丈夫って嘘つくんですかっ?俺はっ、っ、大西さんが大事ですっ、居なくなられたらっ、こまるっ」

「っ、、ごめん、なさい…」

大西さんが起きてくれてよかった、いつもみたいに、大怪我を負ってるとは思えないくらい元気で、安心した。いつもの大西さんがいるって、思えるから。

情けなく涙を流してると、横目で大西さんが起き上がろうとしてるのが見えたので、「動かない」って制止させた。

「頭に目ついてるやん怖っ刑事か何かなん」

「なんて…?」

「いいえ、何も」

「刑事?怖い?怒らないんで、もう1回言ってください」

「き、聞こえてるじゃないですか」

「いえ。聞こえてなかったので、言ってください」

「っ、、」

「怒らないんで」

「もう怒ってる…」

「なんですか?」

「なんでもないです!短気看護師!ケチ!意地悪!わからず屋!悪魔!鬼!!」

「なっ!」

なんかめちゃくちゃ罵られたんやけど…!?

言った本人布団かぶって拗ねてるし。俺別に意地悪したつもりないんやけど…

怪我が悪化するから、手術したばっかやし、起き上がったらダメやでって言っただけで…

「西畑さんとハグしたいって思っただけやのに…」

「へっ…」

「もういいもんっ」

「っ…」

そういう、、、
でも、起き上がったらあかんのやって…

「んん、、これで、、我慢してください」

「っ!」

「もう少し回復したら、起き上がっていいですから」

布団をめくって頬にキスを落とすと、大西さんは俺の首に腕を回して、抱きしめてきた。

「だいすき」

「っ、、」

なんでそういうことサラッと言えるかな…

俺も、、いや俺の方が大西さんのこと大好きやのに、なんか負けた気分…

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