─大吾side─
「っ…」
くっそっ、、俺が休ませてればっ、こんなことにはっ
1番近くにいたのにっ、、守れなかった。異変に気づくことも出来なかった。倒れてからじゃ、遅いのにっ
「大西さんっ」
起きて、と、手を握ってその時を待つしか無かった。なんでこんなことに…
ビルの建設中で、クレーンで鉄パイプを運んでいる時に、ベルトが緩んでたようで、強風が吹いたことにより落下。広範囲に落ちたことで、従業員、そして歩行者にも被害が及んだ。
俺は幸い、腕の骨折と頬の擦り傷で済んだ。でも大西さんは…
「っ…」
なんで守れなかったんや…
隣にいたんやから、俺が大西さんに覆いかぶさって守ることも出来たやろっ
咄嗟に動けなかったこの体が憎かった。恨んだ。
あの場にいた人たちの中で、大西さんが1番重症やった。運ばれてすぐ、急性硬膜外血腫で緊急手術、緊急入院。
急性硬膜下血腫は、頭を打っても初めは意識がいいことが多い。だからって、、、ピンピンしてる大西さんを見て大丈夫やろうと、、見誤った。
頭から出血してる時点で、あらゆる可能性を考えてれば…もっと強く安静にしてるように言ってれば…
「…っ、、くっそ」
俺がもっとちゃんとしてれば、もっと知識があれば…
「西畑さんやっぱり骨折してたんですね」
「はい」
「あとは?」
「いや他は、、、?っ!?なっ、っ、っ」
「ふふっ、僕死んでないんですけど?笑」
「っ、っ、大西さんっ」
「だから生きてますって笑」
普通に話しかけてくるもんだから、疑いもせず返事をしてしまった。今誰と喋った?って顔を上げたら、目を覚ましてて、言葉が出なかった。何かを言いかけて、口をパクパクさせるだけ。
「大西さんだけですっ」
「?」
「あの事故で命落としかけたのっ」
「あ、そうなんですか?ゆうたくんのお母さん大丈夫やったんや。よかっ」
「良くない!〜〜っ、なんでいつも自分は後回しなんですか?大丈夫じゃないくせに大丈夫って嘘つくんですかっ?俺はっ、っ、大西さんが大事ですっ、居なくなられたらっ、こまるっ」
「っ、、ごめん、なさい…」
大西さんが起きてくれてよかった、いつもみたいに、大怪我を負ってるとは思えないくらい元気で、安心した。いつもの大西さんがいるって、思えるから。
情けなく涙を流してると、横目で大西さんが起き上がろうとしてるのが見えたので、「動かない」って制止させた。
「頭に目ついてるやん怖っ刑事か何かなん」
「なんて…?」
「いいえ、何も」
「刑事?怖い?怒らないんで、もう1回言ってください」
「き、聞こえてるじゃないですか」
「いえ。聞こえてなかったので、言ってください」
「っ、、」
「怒らないんで」
「もう怒ってる…」
「なんですか?」
「なんでもないです!短気看護師!ケチ!意地悪!わからず屋!悪魔!鬼!!」
「なっ!」
なんかめちゃくちゃ罵られたんやけど…!?
言った本人布団かぶって拗ねてるし。俺別に意地悪したつもりないんやけど…
怪我が悪化するから、手術したばっかやし、起き上がったらダメやでって言っただけで…
「西畑さんとハグしたいって思っただけやのに…」
「へっ…」
「もういいもんっ」
「っ…」
そういう、、、
でも、起き上がったらあかんのやって…
「んん、、これで、、我慢してください」
「っ!」
「もう少し回復したら、起き上がっていいですから」
布団をめくって頬にキスを落とすと、大西さんは俺の首に腕を回して、抱きしめてきた。
「だいすき」
「っ、、」
なんでそういうことサラッと言えるかな…
俺も、、いや俺の方が大西さんのこと大好きやのに、なんか負けた気分…












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。