第15話

真選組、天人、攘夷志士
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2023/01/22 09:36
真選組もとい土方は
桂を探す為に攘夷志士の集う場所を探し歩く。


指名手配犯がそう簡単には見つかるとは思ってないが、案外簡単に見つけてしまった。



その騒ぎはすぐに真選組の耳に入る。


土方は沖田を呼び、
その現場へと走った。






ーーーーー





複数の天人が桂を襲うが、
桂は後も容易くそれを跳ね除け、
次から次へと薙ぎ倒していく。


「さすが、攘夷志士だけある」


「舐めてもらっちゃ困る」


あと数人というところだった。
重低音が1発空に響く。


「なっ」



「侍の時代は終わったんだよ」


カルテットが銃で桂を撃ったのだ。


「貴様...初めからこのつもりで」


「当たり前だろう、私がわざわざ刀など野蛮な道具を使うわけがない」




「さて、もう1発。今度は脳天にくれてやろう」



カルテットが桂に銃口を向けその引き金を引こうとした時。










「やめて!!!!!うっ」



バンッ

また空に音が響く。

桂の前に立ちはだかった影が、
桂を守るように抱き留めて居た。



「千代...?」


「っく」


「千代!!!?馬鹿!!!何を考えている!!」


桂は目の前の千代の行動に驚きと同様を隠せない。


「千代!!」


一足遅く到着した銀時も
その様子を見て目を見張る。





「私なら平気。」


「千代、お前どうして....」


シュッゥゥと音がして、カランと何かが落ちた。
それはカルテットの撃った銃弾で
千代の傷口から煙が上がる。



「私は、再生するの」


「は?」


桂にそう言いながら
カルテットに向き直る。




「逃げても無駄だと言っただろう?」


カルテットは千代に話しかけた。


「えぇ。逃げようなんて馬鹿でした」



「ふっ...わかっているじゃないか。私の妻なんだ、勝手は許さない」



「千代、傷が...塞がった??妻って.?,お前」

「うん、そうなの。小太郎、あの時はごめんね。あの時の私が間違ってった...」



「おしゃべりは許してないが」


「千代!!」


またもカルテットは千代に銃弾撃ち、
千代は言葉が止まる。



「うっ....」


「お前!!!なんて事をするんだ」


「私が私の所有物に何をしようと勝手だが、」



「仮にもお前の妻だろう!?」



ポトっとまた同じように銃弾が落ちた。



「小太郎、私は平気。」


「平気な訳ないだろう!何がどうなってるんだ!!」



「千代、こちらへ来なさい。」


「....」


千代は仕方なくカルテットの方へ向き直る。
逆らう事は、できないようで
小太郎に背を向けた。



「小太郎、大丈夫。もう終わりにするから」


「?」


「....逃げても無駄とわかったか!!」


カルテットは銃を持って居た手でバシッと千代の頭を叩きつけた。千代の額から血がしたる。



「貴様!!!」


「ヅラ、どいてろ!!!」


追いついた銀時が、桂の前に立ちはだかって
そのまま千代の体を支えに走る。


千代はゆっくり立ち上がる
 


「銀時、ありがとう。」


「カルテット、私はあなたを許さない。」



「ふん、許される理由もない。」


「そうよね、あなたはいつだって私を虐げてきた」


「なんだその目は」


「あなたはもう終わりよ。」






桂は銀時に視線を向けると、銀時が頷く。


「千代、記憶が戻ったのか?」



「うん。、、全部思い出したよ。」


千代は振り向かず、返事をする。



「私の最後のけじめ、付けさせてもらうね」


困ったような切ない顔で千代は振り向き微笑んだ。


「千代」


何故か、何かもう千代に2度と会えない気がして
桂は千代を引き止めようと手を伸ばす。

が、撃たれた傷に阻まれる。





千代はカルテットに一歩、また近づいた。


「あなたの実験を私は告発させて貰ったわ」


「今更、報告しようと誰も逆らえない」


「いいえ....」



千代はまたカルテットに近づいて、
目の前まで来た。



「お前に何ができる?お前はもう刀も握れないというのに」


「....もうあなたの妻でいるのはうんざり。あ」



「ほう、それで?」


「私がなぜこんな身体なのか、それはあなたの....」


それ以上の言葉を一瞬躊躇する。



「ふ、元恋人の前では言えないか?」


「....いいえ。」



千代はチラッと桂を見て、
それからカルテットを睨んだ。



「お前の体液を私に入れた時、私は死ぬ事が出来なくなった。でも、」


「ふむ。」


「お前を殺せば私は死ねると、知った!終わらせてやる!」




千代は万事屋から盗んだ包丁で、
カルテットの喉元を突き刺した。




「くっ...」



「馬鹿だな。」


千代の今の力では、カルテットを突き刺す事はできない。包丁は切先で止まり、辛い血がしたる程度。


それよりも反動で千代の手に包丁の刃が食い込み、血が浸った。


「....クソっ....」





千代が悔しそうな顔をすると
カルテットは高笑い。


「んっぐ?」


しかし、その瞬間に傷口に刺さる違和感を感じ直ぐに視線を戻す。


「馬鹿はどっちよ」


千代は注射器を傷口に刺して、
何かを体内に注入したのだ



「何だ、何をした?」


「あなたをこんな包丁で殺せるなんて思ってないわ。私ははじめから、こうするために」



千代が話してる途中で、カルテットは身体の中で細胞たちが熱く、身体が苦しくなってくるのを感じ、喉元を抑えて膝をついた。



「言ったでしょ。終わりって。」



「かっ...かはっ」


カルテットは吐血。
苦しく痺れながら、四つん這いになりながら千代に掴みかかる。



「いったい何をしたんだ!!!!このクソ女が!!!」



食い込む手を振り払ったのは、桂だった。



「千代、こっちへ来なさい。」


痛む傷を我慢しながら、カルテットから千代を離す。




「がっ、がぁぁ...」


カルテットの側近達は何故か、おとなしくそれを見ているだけだ。





しばらくして断末魔をあげたカルテットは
動かなくなった。



「....終わった....」




「千代、いったい何がどうなってるんだ」



千代に説明を仰ぐ、その前に側近と思われる天人が一歩、千代に近づき声をかけた。






「見事。お前の言う通りだった。カルテットは死んだ、お前も好きにするがいい。」



「えぇ、そうさせてもらうわ」



「戻るぞ」 
 
 なんらかの組織と千代は取引をして居たらしい。





「やったよ....小太郎」


「何が何だかさっぱりだ、全く」


「へへへ、、、10年は長すぎたなぁ」



「お前に聞きたい事が山ほどあるぞ。」


「うん....私も伝えたかった...」



「小太郎、心から愛してた。ずっとずっと。あなたの心が誰にあろうと、私の身体がなくなってもまた貴方に会いに行っていいかな....」



「これからだろう。やっと自由になったんだ」



「....小太郎....実はね、この身体....昔のままなのはね、私はもう....」



「千代。」



「私はもう....一度...死んでいるから....」



「千代!!!っ」




千代の身体から先ほどのような煙が上がると、
千代の顔つきが少し年齢に習うように変化していく



「終わりにしようと思ったのはね、小太郎。地球に帰ってきた時にあんたが生きてるって知ったから....言いたかった、最後に会いたかったから」



「千代、もう、分かった。分かったよ」


「小太郎....幸せになって....あの日々..は私の宝物だったよ.....」


「最後みたいな事を言うなよ千代!」

千代の瞳から涙が溢れて、
微笑んだ表情


「私も千代を愛していた、今も愛している。」




「へへっ....嘘でも嬉しいなぁ...」



「嘘じゃない!!お前を忘れたことなど一度もないんだ」


「....そっか....小太郎...も、もう自由になって....」




その言葉を残して



千代は息を引き取った。






「....千代っ....お前は本当に勝手だ......勝手に.何もかも決めて行ってしまう...俺を置いていくな....」



動かない千代、
まだ再会したばかりで
話したい事も沢山あったのに。




「千代はお前の側で終わらせたかったんだろう....」





「....千代...」


銀時が呟く、桂はより強く千代を抱きしめ小さな声で千代の名を呼ぶのだった。






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