第122話

隣の影を置いて Part14
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2026/04/08 10:43 更新




校庭の桜が風に揺れる。




花びらが舞い、朝日を受けて淡く光る。




その光景は、文化祭の帰り道も、あの日も、全部同じだった。




でも、今年は違う。

キミはもう、この街にはいない。



卒業式の式典が進む中、
俺は胸の奥がぎゅっとなるのを感じていた。




周りの友達は笑い、涙を流す者もいる。




俺も、涙が出そうになる。




でも、出せない。

涙を流したら、きっと止まらなくなるから。




この街で生まれて、キミと出会った。

たくさんの想いを抱えて、一緒に時を過ごした。




笑って、怒って、泣いて、全部、ここで重なった。



今日、俺はこの街を離れる。




キミのいない街を、あの思い出の残る景色を、胸に抱えて旅立つ。




校門をくぐる瞬間、空を見上げる。




遠い場所でも、きっとキミも同じ空を見ているはずだ。




「またね」がない事を知った3年前の今日。




それでも、心の奥で、キミの笑顔は小さく輝き続けている。




思い出が、押し寄せる。

あの日見た夕日、あの日見た花火。




自転車で一緒に行った海の記憶は、鮮やかに胸を染める群青色。




あれから3年。




中学を卒業したてだった俺たちは、もう大学生になる。




でも、キミを想う気持ちは、全く変わっていない。



式典が終わり、校庭を歩く。

桜の花びらがひらひら舞い、風に乗って遠くへ流れる。




胸の奥で、ぐしゃっと痛む思い出が、押し寄せる。




あの日の声、あの景色、全部が心に染みる。




自転車で駆け抜けた道、笑い合った花火、夕日の帰り道

全部、俺の胸の中に残っている。




涙がこぼれる。




だけど、それは悲しみだけじゃない。




ここで生きた日々、キミと過ごした時間



全てを抱えて歩き出す勇気になる。




キミのいない春。

それでも、歩く今日。




また会える日を信じて。
この街で、きっとまた会おう。





あの日の約束は、消えない。





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