解体から一ヶ月。
東京。政府庁舎。
総理執務室。
机の上には一冊の分厚い資料が置かれていた。
『第七部隊解体後影響調査報告書』
総理は静かにページをめくる。
数字。
グラフ。
現場の聞き取り。
各部隊の報告。
何十ページもあった。
読み終えた総理は椅子にもたれた。
静かな部屋。誰もいない。
窓の外には東京の街並み。
小さく呟く。
そこに書かれていた内容は単純だった。
第七部隊の代わりはいる。
一人一人なら。
莉犬の代わりも。
ばぁうの代わりも。
らいとの代わりも。
ちぐさの代わりも。
ぷりっつの代わりも。
らぴすの代わりも。
時間をかければ育つ。
だが、第七部隊の代わりはいなかった。
6人が6人である状態。
それだけは再現できない。
報告書にはこう書かれていた。
『戦力は維持されている』
『しかし現場対応能力は低下傾向』
『特に突発事案への対応速度が顕著に低下』
『原因は不明』
本当は皆分かっている。
原因を。
書けないだけだ。
総理は資料を閉じた。
その時、秘書が入ってくる。
総理は少し考えた。
数分後。
本部長が入室する。
2人きり。
短い沈黙。
先に口を開いたのは総理だった。
本部長を見る。
部屋が静かになる。
本部長はすぐには答えなかった。
考えている。
言葉を選んでいる。
しばらくして。
そう答えた。
総理が少し目を細める。
本部長は続けた。
静かな声だった。
総理は頷く。
それは自分達の考えでもあった。
本部長が言葉を続ける。
総理は黙る。
本部長も資料を見る。
それだけ言った。
総理も理解していた。
だから反論しない。
しばらくして。
本部長は立ち上がった。
扉が閉まる。
再び静寂。
総理は窓の外を見る。
東京。
平和な街。
その平和を守ってきた6人。
だが、まだ結論を変えるつもりはなかった。
少なくとも今は。
一方。アーク本部。
午後7時。
今日は珍しく全員休みだった。
メッセージ上で、ばぁうが言い出した。
結局。
全員集まった。
久しぶりだった。
同じテーブルで。
6人、焼肉屋にて。
ばぁうが肉を焼きながら言う。
らぴすも頷く。
ちぐさが笑う。
ぷりっつも珍しく否定しなかった。
莉犬は少しだけ笑う。
その言葉に。
らぴすが笑った。
少し笑いが起きる。
そして、気付けば。
任務の話になり。
訓練の話になり。
昔話になり。
時間はあっという間に過ぎていった。
店を出た頃には夜だった。
駅前、別れ道。
笑い声。
いつもの空気。
そして別れる。
だが、全員少しだけ思った。
やっぱり。
第七部隊は終わっていない。
部隊はなくなった。
肩書きもない。
けれど、繋がりまでは消えていなかった。
そしてその頃。
遠く離れた政府庁舎では。
新たな問題が発生しようとしていた。
それは、第七解体後。
初めて訪れる本格的な危機だった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。