兄弟にバレてから数日後、水曜日。
また、久しぶりだった。
第七部隊の6人が。
平和な時間を過ごしているのは。
ばぁうが言う。
支部の休憩室。
6人は珍しく全員揃っていた。
魔獣の出現も少ない。
大きな任務もない。
兄弟達との関係も落ち着いてきた。
ようやく、少しだけ。
普通の高校生らしい日々が戻ってきていた。
莉犬が笑う。
全員頷いた。
その時だった。
ビーッ!!
支部全体に警報が鳴り響く。
今まで聞いたことがない音。
鋭く。
長く。
不気味な警報。
6人の表情が変わる。
ちぐさが立ち上がる。
同時に、支部中の職員達も慌ただしく動き始めた。
誰もが焦っている。
顔色が悪い。
明らかに異常だった。
作戦室。
全ての部隊が集められていた。
普段ならありえない。
第一部隊。
第二部隊。
第三部隊。
第四部隊。
第五部隊。
第六部隊。
そして第七部隊。
第七部隊はともかく、他の部隊は所属隊員の人数が多いため、基本的には隊長のみが集合にかけられるのに。
全員。
集合している。
重苦しい空気。
誰も喋らない。
前に立つ支部長の顔も険しかった。
そして。
大型モニターに映像が映る。
山岳地帯。
監視カメラ映像。
そこにいた。
巨大な影。
誰もが言葉を失う。
大きい。
ただ大きいだけじゃない。
存在感そのものが異常だった。
山と同じくらいの高さ。
漆黒の身体。
赤い瞳。
周囲の木々が枯れている。
魔力が漏れているだけで。
自然が壊れていた。
らいとが呟く。
誰も答えない。
答えられない。
すると。
支部長が口を開いた。
静かな声。
だが。
重かった。
その名前が表示される。
そして。
次の言葉で。
作戦室の空気が凍った。
誰も動かない。
Sクラス。
伝説上の存在。
資料でしか見たことがない。
実在しないと思われていた。
それが。
今。
現れた。
支部長が続ける。
ざわつく。
部隊員達の顔が青くなる。
誰かが息を呑む。
討伐成功例なし。
つまり。
倒されたことがない。
モニターが切り替わる。
予測ルート。
そこには。
住宅街。
学校。
駅。
人が暮らす場所。
全部あった。
誰も冗談だと思わない。
全員理解していた。
止められなければ終わる。
会議終了後。
第七部隊の6人は屋上へ出ていた。
風が吹く。
誰もすぐには話さない。
そして、
最初に口を開いたのは。
ちぐさだった。
珍しかった。
弱音に近い言葉。
誰も笑わない。
同じことを考えていたから。
莉犬が正直に答える。
皆が顔を上げる。
莉犬は笑った。
少しだけ。
いつものように。
静かな言葉。
だけど。
不思議と安心する。
それが莉犬だった。
ばぁうが笑う。
ぷりっつも頷く。
らぴすが言う。
その言葉に。
らいとが笑った。
確かに。
敵は今までで最強。
過去最悪。
災害級。
でも。
やることは変わらない。
仲間を守る。
街を守る。
6人で戦う。
それだけだ。
その夜。
それぞれの家。
ニュースが流れていた。
『山岳地帯で異常現象発生』
『政府が調査中』
まだ真実は公表されていない。
だが。
兄弟達は気付いていた。
家族の様子が違う。
いつも以上に。
真剣だった。
兄弟達は顔を見合わせる。
嫌な予感がした。
とても。
とても嫌な予感が。
そして。
その予感は。
間違っていなかった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。