第58話

正式通知
303
2026/09/15 10:00 更新
3日後。

第七部隊専用区画。

朝。


珍しく全員が揃っていた。

理由は単純。

本部長から招集がかかったからだ。


しかも。

「必ず全員出席」

という一文付き。

こういう時は大体ろくな話じゃない。
Vau
絶対面倒事じゃん…嫌だ
ばぁうが椅子にもたれる。
Light
毎回言うよな、それ
らいとが笑う。
Vau
でも毎回当たってるだろ?
Light
まぁ…当たってはいる
Tigusa
当たってるんだ…
ちぐさが笑った。

ぷりっつは腕を組んでいる。

らぴすは静かにコーヒーを飲んでいた。

莉犬は時計を見る。
Rinu
そろそろじゃないかな
その言葉と同時に。

会議室の扉が開いた。


本部長だった。


だが、その表情を見た瞬間。

6人とも笑うのをやめた。


重い。

あまりにも。


本部長は手に封筒を持っていた。

厚い封筒。


そして、政府の印が押されている。


嫌な予感しかしなかった。

本部長は前に立つ。

数秒、沈黙した。


そして、静かに口を開く。
アーク.長
正式な通知が来た
普段は騒がしい第七部隊が、誰も喋らない。
アーク.長
政府が決定した
さらに静かになる。

本部長は一度目を閉じた。


それから、ゆっくり告げた。
アーク.長
第七部隊は30日後をもって解体される
部屋から音が消えた。


本当に、何も聞こえなくなった気がした。

ばぁうも。

らいとも。

ちぐさも。

ぷりっつも。

らぴすも。

莉犬も。

言葉が出ない。


数秒。

いや、もっと長かったかもしれない。



最初に動いたのはらいとだった。
Light
……決まったんやな
小さな声。

本部長が頷く。
アーク.長
正式に…決まった
Pretz
本部長、反対はしたんすか
ぷりっつが聞く。
アーク.長
したさ
本部長は悔しそうに言う。
アーク.長
全力でな
その一言で十分だった。


本部長がどれだけ動いたか。

全員理解できた。


だが、それでも覆らなかった。

それが現実。
Rinu
理由は変わらずですか?
莉犬が聞く。
アーク.長
あぁ…
本部長は答える。
アーク.長
戦力の分散や…他部隊の強化
アーク.長
国家防衛体制の再編、だそうだ
全部聞いていた理由だった。

そして、全部正論でもあった。

だから余計に厄介だった。
 

ばぁうが頭を掻く。
Vau
マジかよ…
普段なら大声を出している。

机を叩いている。


でも今日は違った。

実感が湧かない。

そんな感じだった。


ちぐさも苦笑する。
Tigusa
30日かぁ…意外と短いんだろうね
Lapis
長いようで短いよ、きっと
Lapis
…すぐ解散になるんやろうな
らぴすが言う。 


本部長は6人を見る。

そして机に6つの封筒を置いた。
アーク.長
各々の辞令だ
空気がさらに重くなる。

それぞれの新しい配属先や、仕事内容などが記録されている。


まだ開封はしなくていい。

そう言われても気になる。

だが、誰も手を伸ばさなかった。

本部長が続ける。
アーク.長
今日から引き継ぎも始まる
アーク.長
任務も段階的に減り始める
アーク.長
第七部隊としての活動も、残り一ヶ月だ
残り一ヶ月。

その言葉が妙に重かった。


今まで、6人はずっと一緒だった。

訓練も。

任務も。

食事も。

遠征も。

全部。


それが終わる。

終わると決まった。

その事実だけが胸に残る。
アーク.長
質問はあるか
本部長が聞く。

少し考えて。
Vau
…はいッ!
ばぁうが手を挙げた。














Vau
焼肉行っていいっすか
一瞬、沈黙が流れる。

そして、本部長が呆れた顔になる。
アーク.長
それは何の質問だ…
Vau
いや、一番大事だろ
Light
大事ではある
らいとが頷く。
Tigusa
お前もか
ちぐさが笑い始める。

ぷりっつも笑った。

らぴすも笑う。

莉犬も苦笑する。


重かった空気が少しだけ軽くなる。

本部長は額を押さえた。
アーク.長
…好きにしろ
Vau
よし、絶対行くぞ
ばぁうがガッツポーズする。
Vau
最後くらい、豪華に行こうや
その言葉に。

全員が少しだけ笑った。




最後。

まだ一ヶ月ある。

だけど、確実に終わりへ向かっている。

そんなことを、誰も口には出さなかった。




会議終了後。

6人は食堂に集まっていた。


机の上には、まだ開けていない辞令。

誰も触らない。
Light
開けるか…?
らいとが聞く。
Tigusa
今は…いいかな
ちぐさが答える。
Pretz
分かる、俺もまた今度の機会で
ぷりっつも頷いた。

らぴすは封筒を見つめる。

その先にある未来を考える。


でも、想像できなかった。

第七部隊じゃない自分を。


その時だった。

莉犬が静かに言う。
Rinu
残り一ヶ月
全員が顔を上げる。
Rinu
最後まで、第七部隊で進もう
短い言葉。


でも、十分だった。

ばぁうが笑う。
Vau
当たり前だろ
らいとも頷く。
Light
そうやな
ちぐさも。

ぷりっつも。

らぴすも。

同じように頷いた。


たとえ解体が決まっても。

まだ終わっていない。

 
第七部隊は。


まだ第七部隊だった。

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