雪を踏みしめながら、第七部隊の6人は前線へ向かっていた。
風は強い。
視界もあまり良くない。
それでも足は止まらない。
後ろでは避難誘導が続いている。
老人。
子供。
観光客。
地元住民。
全員を安全圏まで運ばなければならない。
そのための時間を作る。
それが今回の任務だった。
ばぁうが確認する。
莉犬が答える。
らいとが頷いた。
災害級相手に予定通りなどほとんど存在しない。
だからこそ臨機応変が必要になる。
それは第七部隊が最も得意とするところだった。
やがて。
森を抜ける。
そして。
全員の足が止まった。
ちぐさが思わず呟く。
視界の先。
巨大な影。
想像以上だった。
高層ビルほどではない。
だが普通の建物よりは遥かに大きい。
雪原をゆっくり進んでいる。
その一歩ごとに地面が揺れる。
らいとが苦笑する。
ぷりっつも珍しく眉をひそめた。
らぴすは黙って観察している。
動き。
足運び。
周囲への反応。
そして。
何かを考えていた。
莉犬が気付く。
らぴすは目を離さない。
また、その言葉だった。
ばぁうが聞く。
らぴすは首を振る。
それ以上は言えなかった。
自分でも説明できないからだ。
莉犬が言う。
らぴすも頷いた。
作戦はすぐ決まった。
正面はばぁう。
機動支援はちぐさ。
遠距離火力はらいと。
防御はぷりっつ。
全体指揮は莉犬。
そしてらぴすは状況対応。
いつもの形。
何百回も繰り返してきた形だった。
莉犬の声。
次の瞬間。
ちぐさが動いた。
風を纏い、一気に加速。
雪原を切り裂くように駆ける。
魔獣の視線が向く。
その瞬間。
反対側かららいとの攻撃。
雷が雪原を照らした。
魔獣が咆哮する。
だが、その隙に。
ばぁうが前へ出る。
圧倒的な存在感。
まだ能力を使っていない、ただそこにいるだけなのに。
巨大な魔獣が一瞬だけ動きを止めた。
らいとが驚く。
ちぐさが笑う。
本人もよく分かっていない。
だが昔からそうだった。
敵の注意を引くのが異常に上手い。
ぷりっつが言う。
その直後。
巨大な爪が振り下ろされた。
しかし。
ガンッ!
植物の壁が受け止める。
ぷりっつの防御。
雪が吹き飛ぶ。
地面が割れる。
それでも。
防いだ。
らぴすが言う。
ぷりっつは少し得意そうだった。
戦いは続く。
第七部隊は魔獣を押していた。
決して楽ではない。
だが確実に時間を稼いでいる。
避難も進んでいる。
現場の無線からも報告が入る。
順調だった。
その時。
魔獣が突然立ち止まった。
全員の動きが止まる。
ちぐさが警戒する。
次の瞬間。
魔獣が空を見上げた。
まるで。
何かを探すように。
莉犬も違和感を覚える。
攻撃してこない。
逃げもしない。
ただ空を見ている。
異様だった。
そして、らぴすが呟く。
全員が振り返る。
らぴすは魔獣を見つめる。
考えをまとめる。
そして、静かに言った。
空気が変わった。
らいとが聞き返す。
らぴすは目を細める。
その言葉に。
6人全員が同時に気付いた。
確かにそうだ。
攻撃はしてくる。
だが積極的ではない。
むしろ、進路を邪魔されたから反応しているだけ。
まるで、目的地が別にあるみたいに。
莉犬の顔が変わる。
第二部隊が地図を確認する。
そして、表情を失った。
その言葉を聞いた瞬間。
なぜか、第七部隊の全員が嫌な予感を覚えた。
ただの勘だった。
だが、今まで何度も命を救ってきた勘でもあった。
そして、その予感は。
今回も、的中するのか…?
まだ、誰にも分からない。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。