第62話

6人の戦い方
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2026/09/19 10:00 更新
雪を踏みしめながら、第七部隊の6人は前線へ向かっていた。



風は強い。

視界もあまり良くない。


それでも足は止まらない。





後ろでは避難誘導が続いている。

老人。

子供。

観光客。

地元住民。


全員を安全圏まで運ばなければならない。

そのための時間を作る。


それが今回の任務だった。
Vau
避難完了まで5時間だったよな
ばぁうが確認する。
Rinu
予定では、ね
莉犬が答える。
Rinu
予定通りになるとは限らないからね
Light
そうやな
らいとが頷いた。


災害級相手に予定通りなどほとんど存在しない。

だからこそ臨機応変が必要になる。


それは第七部隊が最も得意とするところだった。



やがて。

森を抜ける。


そして。

全員の足が止まった。
Tigusa
……うわぁ
ちぐさが思わず呟く。


視界の先。

巨大な影。


想像以上だった。

高層ビルほどではない。

だが普通の建物よりは遥かに大きい。


雪原をゆっくり進んでいる。

その一歩ごとに地面が揺れる。
Light
でかすぎやろ…
らいとが苦笑する。
Pretz
写真より2倍はあるな
ぷりっつも珍しく眉をひそめた。


らぴすは黙って観察している。

動き。

足運び。

周囲への反応。


そして。
Lapis
……
何かを考えていた。
Rinu
どうしたの…?
莉犬が気付く。
Lapis
いや…
らぴすは目を離さない。
Lapis
やっぱ変やな
また、その言葉だった。
Vau
何が…?
ばぁうが聞く。
Lapis
分からん
らぴすは首を振る。
Lapis
でも何かおかしい
それ以上は言えなかった。

自分でも説明できないからだ。
Rinu
まぁ…後で考えようか
莉犬が言う。
Rinu
まずは止めるよ
Lapis
了解
らぴすも頷いた。



作戦はすぐ決まった。


正面はばぁう。

機動支援はちぐさ。

遠距離火力はらいと。

防御はぷりっつ。

全体指揮は莉犬。

そしてらぴすは状況対応。


いつもの形。

何百回も繰り返してきた形だった。
Rinu
始めるよ
莉犬の声。


次の瞬間。

ちぐさが動いた。


風を纏い、一気に加速。

雪原を切り裂くように駆ける。


魔獣の視線が向く。



その瞬間。


反対側かららいとの攻撃。


雷が雪原を照らした。

魔獣が咆哮する。

だが、その隙に。
Vau
こっち見ろよ…!
ばぁうが前へ出る。

圧倒的な存在感。

まだ能力を使っていない、ただそこにいるだけなのに。

巨大な魔獣が一瞬だけ動きを止めた。
Light
マジで止まるんかよ
らいとが驚く。
Tigusa
ばぁちの才能だね
ちぐさが笑う。


本人もよく分かっていない。

だが昔からそうだった。

敵の注意を引くのが異常に上手い。
Vau
褒めろ褒めろ
Pretz
後でな
ぷりっつが言う。


その直後。

巨大な爪が振り下ろされた。


しかし。

ガンッ!

植物の壁が受け止める。


ぷりっつの防御。

雪が吹き飛ぶ。

地面が割れる。


それでも。

防いだ。
Lapis
相変わらず硬いな
らぴすが言う。
Pretz
当然や
ぷりっつは少し得意そうだった。


戦いは続く。

第七部隊は魔獣を押していた。


決して楽ではない。

だが確実に時間を稼いでいる。


避難も進んでいる。

現場の無線からも報告が入る。
mb
避難率80パーセント!
mb
85パーセントに上がりました!
順調だった。


その時。

魔獣が突然立ち止まった。


全員の動きが止まる。
Tigusa
何…?
ちぐさが警戒する。


次の瞬間。

魔獣が空を見上げた。


まるで。

何かを探すように。
Rinu
……?
莉犬も違和感を覚える。


攻撃してこない。

逃げもしない。

ただ空を見ている。


異様だった。


そして、らぴすが呟く。
Lapis
それや
全員が振り返る。
Vau
何が?
Lapis
変やと思った理由
らぴすは魔獣を見つめる。
Lapis
こいつ…
考えをまとめる。


そして、静かに言った。
Lapis
俺らと戦いに来てない
空気が変わった。
Light
は?
らいとが聞き返す。
Light
どういう意味や
らぴすは目を細める。
Lapis
最初からずっとや
Lapis
こいつ、どっかに向かっとる
その言葉に。

6人全員が同時に気付いた。


確かにそうだ。


攻撃はしてくる。

だが積極的ではない。


むしろ、進路を邪魔されたから反応しているだけ。


まるで、目的地が別にあるみたいに。


莉犬の顔が変わる。
Rinu
進行方向は?
第二部隊が地図を確認する。

そして、表情を失った。
隊員
……山、です
Rinu
山…?
隊員
この先の立入禁止区域です
その言葉を聞いた瞬間。


なぜか、第七部隊の全員が嫌な予感を覚えた。


ただの勘だった。


だが、今まで何度も命を救ってきた勘でもあった。


そして、その予感は。


今回も、的中するのか…?


まだ、誰にも分からない。

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