第七解体から2週間。
東京。
アーク本部。
表面上は何も問題なかった。
6(人はそれぞれの部隊で活動している。
任務も成功している。
報告書にも異常はない。
数字だけ見れば。
解体は順調だった。
少なくとも。
政府はそう考えていた。
しかし、現場は少し違った。
午前9時。
アーク本部会議室。
各部隊の隊長が集まっていた。
定例報告会。
いつも通りのはずだった。
資料が配られる。
幹部達が目を通す。
そして、一人が眉をひそめた。
静かに言った。
数字は大きくはない。
数パーセント。
ほんの少し。
だが、無視できる数字でもなかった。
別の幹部が言う。
会議室が静かになる。
総理直属の監査官も資料を見る。
確かに変だ。
急激ではない。
だが、確実に下がっている。
誰かが聞く。
答えられる者はいなかった。
隊員不足ではない。
装備不足でもない。
予算も十分。
それなのに、少しずつ効率が落ちている。
ある幹部が言う。
別の幹部も頷く。
まだ断定はできない。
だが、誰も口にしなかった名前があった。
第七部隊。
皆考えていた。
だが、まだ誰も言わない。
言ってしまえば。
解体の正当性そのものが揺らぐからだ。
その頃。
第一部隊。
莉犬は任務中だった。
隊員達が動く。
連携も悪くない。
実力も高い。
だが、何かが噛み合わない。
敵を追い込む。
あと一歩。
そこで逃がす。
そんな場面が最近増えていた。
隊員が悔しそうに拳を握る。
失敗ではない。
でも、以前なら成功していた。
そんな感覚が残る。
任務終了後。
隊長が言った。
莉犬が聞く。
隊長は少し考える。
本当にそうだった。
そこまで言って止まる。
莉犬は何となく分かっていた。
だが、口にはしなかった。
「最強部隊がいなくなったから」
なんて、言えるはずもない。
第二部隊。
ばぁう。
今日も前線任務。
魔獣の群れを討伐していた。
ばぁうが伸びをする。
隊員達も安堵していた。
しかし、隊長が地図を見ながらため息を吐く。
確かに。
予定より40分遅れている。
成功はした。
だが効率が悪い。
若い隊員が聞く。
隊長は少し考えた。
言いかけて止まる。
視線がばぁうへ向いた。
ばぁうも気付く。
だが何も言わない。
隊長もそれ以上は言わなかった。
「前なら、第七部隊が対処してくれた魔獣だったから」
そんな言葉、口にはできない。
第三部隊。らいとの部隊。
訓練中。
若手隊員達へ指導している。
教えるのは上手かった。
皆から慕われている。
しかし、任務報告書を見ると。
以前より連携ミスが増えている。
小さなものだ。
だが確実に。
隊長が資料を見ながら言う。
らいとが聞く。
それ以上は続かなかった。
だが、らいとも理解していた。
第四部隊のちぐさも。
第五部隊のぷりっつも。
第六部隊のらぴすも。
それぞれ同じだった。
問題はない。
大きな失敗もない。
皆優秀だ。
だが、何か足りない。
そんな感覚だけが残る。
本当は皆、気付いている。
第七部隊が抜けた穴の大きさに。
そして、政府がまだ気付いていないことにも。
その頃。
東京。
政府庁舎。
一人の職員が新しい資料を手に会議室へ向かっていた。
その表紙には。
大きくこう書かれていた。
「第七部隊解体後の影響調査報告書」
それは、政府の考えを少しずつ変え始める最初の資料になる。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!