第67話

想定外
229
2026/09/26 10:00 更新
第七解体から2週間。


東京。

アーク本部。


表面上は何も問題なかった。

6(人はそれぞれの部隊で活動している。


任務も成功している。

報告書にも異常はない。


数字だけ見れば。

解体は順調だった。




少なくとも。

政府はそう考えていた。









しかし、現場は少し違った。




午前9時。

アーク本部会議室。



各部隊の隊長が集まっていた。


定例報告会。

いつも通りのはずだった。
mb
今月の討伐成功率です
資料が配られる。

幹部達が目を通す。


そして、一人が眉をひそめた。
mb
下がっているな

静かに言った。


数字は大きくはない。

数パーセント。

ほんの少し。


だが、無視できる数字でもなかった。
mb
被害報告も増えています
別の幹部が言う。
mb
隊員の負傷率も上昇傾向です
会議室が静かになる。




総理直属の監査官も資料を見る。



確かに変だ。

急激ではない。


だが、確実に下がっている。
mb
原因は?
誰かが聞く。


答えられる者はいなかった。


隊員不足ではない。

装備不足でもない。

予算も十分。


それなのに、少しずつ効率が落ちている。
mb
……偶然では
ある幹部が言う。
mb
可能性はあります
別の幹部も頷く。


まだ断定はできない。


だが、誰も口にしなかった名前があった。



第七部隊。


皆考えていた。


だが、まだ誰も言わない。


言ってしまえば。

解体の正当性そのものが揺らぐからだ。
その頃。

第一部隊。


莉犬は任務中だった。
Rinu
北側へ回ります
隊員
了解
隊員達が動く。

連携も悪くない。

実力も高い。


だが、何かが噛み合わない。



敵を追い込む。

あと一歩。

そこで逃がす。


そんな場面が最近増えていた。
隊員
くッッ……!
隊員が悔しそうに拳を握る。


失敗ではない。

でも、以前なら成功していた。


そんな感覚が残る。



任務終了後。

隊長が言った。
隊長
最近、難しいな
Rinu
何がですか
莉犬が聞く。

隊長は少し考える。
隊長
言葉にしにくい
本当にそうだった。
隊長
戦力は足りている
隊長
判断も間違っていない
隊長
だが…
そこまで言って止まる。


莉犬は何となく分かっていた。


だが、口にはしなかった。









「最強部隊がいなくなったから」

なんて、言えるはずもない。
第二部隊。

ばぁう。


今日も前線任務。

魔獣の群れを討伐していた。
Vau
終わったー!
ばぁうが伸びをする。

隊員達も安堵していた。


しかし、隊長が地図を見ながらため息を吐く。
隊長
時間がかかったな
確かに。

予定より40分遅れている。



成功はした。

だが効率が悪い。
隊員
前ならもっと早かったんですか?
若い隊員が聞く。

隊長は少し考えた。
隊長
前なら…
言いかけて止まる。


視線がばぁうへ向いた。


ばぁうも気付く。

だが何も言わない。

隊長もそれ以上は言わなかった。






「前なら、第七部隊が対処してくれた魔獣だったから」

そんな言葉、口にはできない。
第三部隊。らいとの部隊。


訓練中。

若手隊員達へ指導している。
Light
そこで一回下がって
隊員
はい!
Light
焦らんでいいからな?
隊員
はい!
教えるのは上手かった。

皆から慕われている。




しかし、任務報告書を見ると。

以前より連携ミスが増えている。


小さなものだ。

だが確実に。


隊長が資料を見ながら言う。
隊長
不思議やな
Light
何がですか?
らいとが聞く。
隊長
前はもっと簡単にできとった気がするんや
それ以上は続かなかった。


だが、らいとも理解していた。
第四部隊のちぐさも。

第五部隊のぷりっつも。

第六部隊のらぴすも。


それぞれ同じだった。


問題はない。

大きな失敗もない。


皆優秀だ。




だが、何か足りない。

そんな感覚だけが残る。








本当は皆、気付いている。


第七部隊が抜けた穴の大きさに。


そして、政府がまだ気付いていないことにも。









その頃。

東京。

政府庁舎。


一人の職員が新しい資料を手に会議室へ向かっていた。


その表紙には。

大きくこう書かれていた。




「第七部隊解体後の影響調査報告書」



それは、政府の考えを少しずつ変え始める最初の資料になる。

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